News
Lifestyle

次々買って捨てられない人は「ためこみ症」という病気かも

 モノであふれかえった“汚部屋”の住人というと、どんな姿を想像するでしょうか? 片付けをサボってきた怠け者や、ヤケになった世捨て人が浮かぶかもしれません。日本ではADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状とあわせて論じられてきた経緯もあり、“汚部屋イコール片付けられないこと”との認識が一般的だと思います。

ためこみ症

部屋が服に占拠されているのもためこみ症かも…(以下、写真はイメージです)

 でも、近年こうした論調に一石を投じる分析が出始めています。部屋が散らかるのは、単に片付けられないだけではなく、逆にためこんでしまうからという見方。つまり、不真面目さよりも、モノに対する神経質なこだわりこそが“汚部屋”を生む一因だというわけです。

正式に「病気」と認められた「ためこみ症」


 他人から見ればゴミにしか見えないものにまで価値を与えてしまう「Hoarding Disorder」、日本語では「ためこみ症」と呼ばれるこの症状。2013年にはアメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」の中に新たに分類され、精神疾患として認められるようになりました。

 今年6月、WHO(世界保健機関)も正式な病気とする見解を発表したことから、にわかに注目を集めています(※)。英紙ガーディアンの電子版の記事‘It looks like you’re a lazy idiot’: hoarders welcome medical classification(2018.8.18)から、実際の例を見ていきましょう。

 エジンバラ近郊に住むデイヴィッド・ウッズ(50)の部屋は、合わせて15000タイトルもの本とDVDで埋め尽くされています。学生時代から買い続けてきた結果なのですが、そもそもの動機は“もっと世の中を知りたい”という純粋な欲求を満たすためでした。

 ここまでなら誰もが経験することですよね。しかし、その先にためこみ症の困難があるのです。ウッズの向学心は、年齢とともに方向性を失い始めます。熱心な向学心が、取り立てて読む必要のない本まで買ってしまうことにすり替わってしまったからなのですね。

 いま、彼の蔵書は微生物学からタロット占星術、果ては経済格差から政治学に至るまで、多岐に渡るのだそう。ただし、このコレクションはポジティブな好奇心ではなく、「自分は十分に世界を理解していないのではないか」との恐怖心から生まれたのだとウッズは告白しています。

 これこそが、ためこみ症の特徴そのものなのです。「収集家とは異なり、整理した状態で物をためることはなく、ほとんど価値のないものでも手放すのに困難を覚えます」(権威ある医学情報メディア「MSDマニュアル」家庭版 より)

ためこみ症

日常生活に困るほど散らかっているのも、ためこみ症の診断基準

「買っておかなければ」という強迫観念


 さらに、次から次へと“あなたへのおすすめ商品”がサジェストされるネットショッピング全盛の現代。“今のままでは不十分だ”と考えるためこみ症の患者を悪化させる環境が整ってしまっているのですね。
 だから、いま必要でなくても、いつか必要になるかもしれない。ならば、とりあえず買っておかなければ。こうした強迫観念も重なり、モノを処分できない負のスパイラルにハマってしまうのでしょう。

次のページ 
もし「ためこみ症かな?」と思ったら

1
2




あなたにおすすめ