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夫が憎い、キライ…「産後クライシス」の心の嵐を切り抜けるには

 産前産後で夫への愛情が大きく減った、という女性の意見を多く聞く。いわゆる「産後クライシス」だ。
産後クライシス

写真はイメージです(以下同)

 妊娠する前は、「もし子供ができなかったら、生涯旦那と二人の生活でもいいよね」と思っていたのに、いざ子供が生まれてみると、今度は「なんなら子供と二人での生活でもいっか」と夫が玉突きされた、という女性もいることだろう。  なぜそんなにも、母となることで夫への感情が変化してしまうのだろうか。子育てメディアの編集部員で2歳の娘の母でもある筆者が考えてみた。

現代ママの「逃げ場のなさ」

 産後うつ、孤育、ワンオペ育児……。出産という大役を終え、幸せ絶頂にあるはずの女性が、どうにもハッピーになりきれない状況が近年叫ばれている。  まず、母親に負担が偏る育児がツラい。共働き夫婦を対象とした家事に関する調査(※1)では、「妻の負担が7割以上」と答えた層が8割を超えた。  未満児育児は一瞬も目を離すことができず、身辺のお世話にもいちいち介助が必要なので、ワンオペだと24時間自分のペースで生活できない。 24時間自分のペースで生活できない「あと30分寝ていたいな」 「新しいパン屋さんだ、ちょっと寄ってみよう」 「湯船にだまって5分つかりたい」 「好きなテレビや本を誰にも邪魔されずに眺めたい……」  この程度の「したいこと」が軒並み実行できなくなる。  自宅では家事を邪魔されはかどらず、外出すれば大量の子どもの荷物と見張られているような世間の視線。  さらに、相談する大人がいないので、細かな「決断しなくてはいけないこと」が24時間あたまの中を駆け巡っている。 「何時にごはんたべる?」 「子どもの服装、これで寒くないかな?」 「予防接種の予約しなきゃ……」 「ゴミ袋もうすく切れそうだっけ?」 「洗濯しなきゃ明日の天気は?」  未経験の「親としての子どもの予定」を忘れないよう、家事が滞らないよう、頭のシンが常に緊張しているのだ。  初めての子供であれば、一度きりのイベントや、「はじめての〇〇」に対して、準備や記録、お祝いを怠ることは、母としての自己肯定感を大きく損なうような気持にもなる。愛情ゆえの恐怖心が、スーパーハイオクガソリンのように疲れた体をさらに焚きつけるのだ。

不満や怒りはすべてパパに向かう

 出産育児で疲労したカラダに、終わらない宿題と選択で爆発しそうなアタマ。そして、社会から離れアイデンティティが薄れて、消耗するココロ。  核家族の主な登場人物はママ、パパ、子であるから、赤ちゃんに怒れない以上、ヘロヘロなママの不満や怒りは根こそぎパパに向かう。 不満や怒りはすべてパパに向かう 選択の余地なく、限界状態に追い込まれたママには、「育児をする、しない」「妻を助ける、助けない」という選択肢を持っている夫が妬ましい。しかも自分が極限なので、「極限まで自分を追い込む」という選択をしなかった夫を許すことができない。  茶碗を流しに下げない、靴下が裏返ったまま、リビングで寝落ちする。産前は「もう、仕方ないわね~」で許せたことが、一気に極悪非道で絶対的に間違っている行いに感じるのだ。  ひどい、許せない、信じられない、キライ……。胸の中に、渦巻いたこともないような大きな雲がゴゴゴゴゴッとあらわれ、「でも優しいところもあるし」「彼も疲れているから」をあっという間にのみこんでしまう。荒れ狂う嵐が大木をなぎ倒して家を砕くように、それまであった「わたしの穏やかな街」を復興不能な荒野に変えてしまうのだ。 「わたしの穏やかな街」を復興不能な荒野に変えてしまう 「大好き」を集めた図書館も、くつろいだカフェも、安らぎのマイホームも何もかも、意味のない大量のガレキになってしまう。これが産クラ妻のココロの中である。視覚的には見えないが、長年暮らした大好きな街を、失意のうちに失っている。  街が壊れる音を聞いても、泣きながら子供と逃げることしかできなかったあの無念が、夫の街の賑やかな飲み屋や呑気な公園を垣間見るたび、信じられない憎悪となって、またひとつ、激しい嵐を呼び起こす。
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産後クライシスから抜け出すには
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