彼氏がヒモ化し、13年間も養うハメになった女性が後悔する一言とは
何気なくつぶやいた一言が思わぬ事態に……なんて経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
自身の過去をそう悔いるのは、1歳年下の彼氏と付き合って13年になる伊藤里美さん(仮名・34歳/団体職員)。つきあい初めの学生時代、遊びほうけていた彼氏は大学を留年し、両親から仕送りを止められて家賃を滞納。彼女の暮らすマンションに転がり込み、同棲が始まったそうです。
「両親が共働きだった彼は、子供のころから料理や洗濯、掃除を自分でこなしていて、家事のスキルだけはやたら高かったです。大学まで実家暮らしだった私はどれも苦手で、彼が代わりに家事をやってくれて助かっていたんですよ。それで『このまま私が働くから主夫をやってよ』と言っちゃったんです」
すると、彼氏は「うん、いいよ」と即答。冗談半分のつもりだった里見さんは予想外の返事に一瞬驚いたそうですが、「どうせ真に受けてないだろう」と思って深く考えなかったとか。
「でも、就活を始める様子は見られず、大学も卒業しても家事以外に何をするわけでもなく、私が転勤になれば一緒についてくる(笑)。気がつくとその生活が何年も続いていました。
内心このままじゃマズいとは思っていたけど、家のことを彼が全部やってくれるのはラクで、それに甘えていました」
何度か「仕事はどうするの?」とたずねたことがあったそうですが、「俺は家のことをやっているほうが性に合ってるから」と彼氏に就職する気はなかったといいます。
「私は収入も安定していたし、2人で食べていく程度の稼ぎもありました。彼自身、養ってもらっていることに負い目を感じている様子もないですが、さすがに彼のお母さんはよく思われていません。『あなたと付き合わなければ……』と恨み節を吐かれたことがあるので、息子をダメにした女と見られているでしょうね。
彼も実家とは疎遠になっており、13年の交際期間で会ったのは3回だけで、今では年賀状のやりとり程度なので」
ところで、結婚する予定はないのでしょうか?
「特に考えていません。まあ、今の状態がすでに事実婚みたいなものですから。子供がいれば籍を入れたかもしれませんが、正直あまり欲しいとは思ってないし、2人で暮らしていければいいかなって。とはいえ、主夫になってもらうつもりではなかったんですけどね」
彼は家事労働をこなしており“内縁の主夫”ではありますが、自活しておらず、やはり世間一般的な視線ではヒモ同然の彼氏。それでも里美さんの両親は身内として扱ってくれるそうです。
「結婚式やお葬式、法事などは彼も親族の一員として出ていますし、私抜きで両親と出かけることもあるほどです。しかも、私の職場の人とも仲が良く、休日には上司や同僚宅に2人で訪れ、バーベキューなどをすることもあります。彼も基本的に買い物以外は毎日家にいるのにコミュ力だけはなぜか高いみたいで(笑)」
ちなみに彼氏は大学卒業後、外で働いた経験は一切ないですが、数年前から在宅ワークでウェブデザインの仕事をスタート。
「収入は月5万円とパート程度ですが、私の体裁を気にしてのこともあるようです。まあ、今さらって感じですけどね。
この前、昔私が言った『主夫をやってよ』についてどう思ったか彼に聞いたんですけど、『冗談半分なのは分かっていたけど、働かずに主夫をしても文句を言われなかったので、お言葉に甘えさせてもらった』って。家事をしてくれるのは感謝していますが、この言葉を聞いてやっぱり私の失言だと改めて感じました(笑)」
思うところはいろいろとあるようですが、なんだかんだで釣り合いが取れた2人なのかもしれませんね。
―最低の“ヒモ・クズ男”選手権 vol.2―
<文/トシタカマサ イラスト/やましたともこ>
「痛いほど身に覚えがあります。彼をヒモにしてしまったのは、私の不用意な一言がきっかけだったんです」