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大病で弱った愛犬が、また元気に走り出した。「思い出」の力に驚き|ペットロス Vol.19

「人(犬)生は楽しい!」がケフィの生命力の源

 それから、何よりも重要だと感じたのは、「とにかく、たくさんたくさん楽しい経験をさせてあげること」です。死の淵をさまよった直後に泊まったなじみの宿で、テニスコートを走り回るケフィを見ていて、本当にそう思いました。
小豆島の海に浸かるケフィ

小豆島の海に浸かるケフィ

 確かにその走りっぷりや速さは、“風のように”走っていた頃とは違います。後ろ足が弱ってしまったのでジャンプはできなくなりましたし、つまづいたり、転んだりもよくします。倒れ込むようにして爆睡するまで、はしゃぐこともなくなりました。  けれども宿に着いたとたんにケフィの目はキラキラと輝きはじめ、自分からテニスコートに向かって走り出しました。人間がラケットでボールを打つと変わらずボール・ガールを務め、ボールをベンチの周りに集めては得意げにくわえてみせます。それはまるで、全盛期の自分に戻って楽しんでいるかのようでした。  おそらく「旅行のたびに嬉しいことがいっぱいあった」という思い出や、「人間と一緒に何かをする」という喜び、「非日常を楽しもう」という好奇心……そんな長い時間をかけて積み上げてきたポジティブな感情や感覚は、老犬になってもずーっとケフィの中にあったのです。その「人(犬)生は楽しいことに溢れている!」という思いが、ケフィの生命力の源のような感じがしました。
海から上がって洗い立てのケフィ

海から上がって洗い立てのケフィ

 たとえ体は思うように動かなくなっても、その思いがあればケフィの心はいつでも“あの頃”に戻れるのです。そして“あの頃”の感覚そのままに、喜んだり、楽しんだり命を躍動させたりすることが、いくつになってもできるのです。そんな「もっと生きたい!」という思いが、ケフィの命を支えていることは間違いなさそうでした。 <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【木附千晶プロフィール】 臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。少人数の「ペットロス」セミナーを開催しています(港区東麻布、カウンセリングルーム「IFF」相談室内)。次回は2018年10月13日(土曜日)13時~16時です。
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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