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病気の愛犬に「死んでもおかしくない」と医師。でも奇跡は起こった

16歳の愛犬を亡くした心理カウンセラーが考えるペットロス Vol.18>

 心理カウンセラーの木附千晶さんは、16年一緒に暮らしたゴールデン・レトリーバー「ケフィ」を2017年4月に亡くしました。ケフィはメニエール病などと闘い、最後は肝臓がんのために息を引き取ったのです。前後して3匹の猫も亡くし、木附さんは深刻なペットロスに陥ってしまいます。自分の体験を、心理カウンセラーとして見つめ、ペットロスについて考えます。

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「特発性心膜液(水)貯留」


 これが、高度医療を行う二次診療病院で付いたケフィの診断名です。ケフィの心臓の膜の間には500ミリリットルもの水が貯まり(=心膜液(水)貯留)、心臓の動きが障害された「心タンポナーデ」という状況になっていたのです。

ボールをくわえるケフィ

木附さんの愛犬「ケフィ」。ボールをくわえて遊んでいるところ

 心画像を見ると、貯まった水のせいで心臓の右半分がほぼつぶれています。これでは息苦しいはずです。その影響で、体内をめぐるはずの血液や分泌物もきちんと循環せず、腹水も貯まったのだろうというのが二次診療病院の獣医師の判断でした。

死んでいてもおかしくない状態でした」(二次診療病院の獣医師)と言われ、私は蒼(あお)くなりました。私が事実を否認し続けているうちに、ケフィを末期症状のところまで追い込んでしまっていたのです。

もう回復しないのではという不安


 診断は「特発性」……つまり「原因不明」でしたが、それは「現時点では解明できない」だけのこと。もしかしたら何か重篤(じゅうとく)な病気が隠れている可能性もありました。今までの健康診断等の検査結果等を総合的に判断し、二次病院の獣医師はこう言いました。

「肝臓もしくは肺に悪性の腫瘍ができているかもしれません。正確に判断するにはMRI検査が必要になります。それには全身麻酔が必要です。同意されますか?」

動物病院

写真はイメージです

 その日はケフィの誕生日前日(2015年12月24日)でした。あと1日でケフィは15歳になります。高齢犬には全身麻酔そのものがハイリスク。でも、もし悪性腫瘍……ガンが原因なら、このままではただ死を待つだけになってしまいます。

 家族会議を経て5日後にMRI検査を予約しました。水を抜いたことでケフィの呼吸はわずかに楽になったように見えましたが、相変わらずぐったりとしたままです。

 翌日の誕生日も重苦しい雰囲気に包まれていました。毎年、「これは私の!」と、ローストチキンの周辺をうろうろ回っては鼻をひくひくさせ、しっぽをブンブン振りながらチキンをねだっていたケフィが、チキンを見ようともせず、ただ眠っています。

もう15歳だし、このまま回復しないのでは

 口に出したら本当にそうなってしまいそうで言えませんでしたが、家族のだれもがそう思っていました。

検査の2日前、ご飯をパクパク食べ始めた!


 しかし、昨年秋に「特発性メニエール病」から見事な復活を遂げて私を喜ばせてくれたケフィは、再び奇跡を起こしてくれました。

走るケフィ

テニスコートを走って回るケフィ

 検査まであと2日に迫った夜から、ケフィの食欲が回復し始めました。昨日までとはうって変わった調子でパクパクとご飯を食べ、なんとおかわりまで要求したのです。

 そして明朝、カツン、カツン……と階段を上ろうとする音が聞こえたので見に行くと、元気よくしっぽを振りながらこちらを見上げるケフィがいました。昨日までの生気の抜けたような目ではなくしっかりと私を見つめています。

「どうしたのケフィ? トイレ?」

 声をかけると、ケフィは出入り口付近でソワソワ。連れ出すと、久々にかたちのある「いいうんち」をし、朝ご飯もたっぷり平らげました。

「これなら水は貯まってないんじゃないか」という希望と不安が入り交じる中で当日を迎えました。まず心画像を取ってみて、もしまた水が貯まっていたら全身麻酔をしてMRI検査をする予定でした。

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祈る気持ちで検査結果を待つ……

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