――刷り込みという点では、ウェブ記事やテレビなども大きな影響がありそうです。「未婚女性が××した末路」とか「非正規社員の悲惨な現状」みたいに、いたずらに危機感をあおり、ステレオタイプにネガティブな印象を与える情報が蔓延しています。
佐久間「そういう情報を疑ってかかるクリティカルシンキングや情報リテラシーが必要ですね。自分で責任を取って行動している人と、誰かに責任を取って欲しくて足踏みしている人には、能力だけでなく考え方に大きな差があります。
例えば、まことしやかに言われる『勝ち組とは…』に惑わされて『私は××だから負け組だ』と思っていませんか? それは本当にそうなのか疑ってみてください。結婚している人はみんな幸せでしょうか、それならなぜ3組に1組は離婚をしているのでしょう? 未婚の女性はみな不幸ですか? 『自分にできる仕事なんてない』って、本当に世の中すべての仕事を試してみましたか?」
――うっすらわかっていることだとは思います。でも現状から抜け出せないのは、
自分のせいだと思いたくないんです。自分がまさにそうでした。
逆に今、人から「ライターなんて才能があるからできるんだね」と言われることがあります。でも才能なんかより、日々の努力だったり姿勢の部分が大きいですね。好きなことなら努力ができるし、長続きすることも知りました。「才能や経験がないからフリーランスになれない」と思いこんでいた昔の自分は、間違いなくイラショナル・ビリーフに囚われていたと感じます。
佐久間「思い込みでがんじがらめになっていると、一歩も踏み出せずに、不平ばかりがたまってしまいます。自分の気づかないところでたくさんのチャンスを逃しているなんてもったいないですよね。
自分を縛っている鎖は、誰がつけたのでしょう?
誰でもない、自分です。ぜひ、多くの女性にイラショナル・ビリーフに気づいて、自分を解放してあげて欲しいです。」
――仕事も、結婚も、趣味も、恋愛も、すべて自分の可能性を並列に並べて、自分の意志で選択したいですね。それができている人は、どんな環境にもかかわらず幸せな人生を送っていると思います。ありがとうございました。
【佐久間寿美江さん】株式会社研修屋 代表取締役社長。一級販売士、キャリアコンサルタント。接遇マナー、ホスピタリティ、営業力アップ、クレーム応対、聴く・話す技術などの研修を行う
<取材・文/和久井香菜子>