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「新潮45」杉田水脈の文章を能町みね子がボロクソ添削<サムソン高橋×能町みね子 vol.2>

サムソン高橋×能町みね子「新潮45」対談 vol.2> 「新潮45」8月号の杉田水脈衆議院議員の寄稿と、彼女を擁護する「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という10月号の特集。  近年では、映画化もされた「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部)等に代表されるすぐれた事件ノンフィクションを多数生み出してきた老舗雑誌は、いつの間に、部数のためなら差別を助長するような記事を載せてしまう雑誌に変貌を遂げてしまっていたのでしょうか。  LGBT当事者でもある、ゲイライターのサムソン高橋さんと、出生時の性を男性から変えた女性のマンガ家・エッセイストの能町みね子さん。契約結婚を前提に夫婦(仮)として生活中のおふたりが、この騒動について、レベルの低さや小川榮太郎氏の思わぬチャーミングさを語った前回に続き、今回は新潮社の対応の下手さ、杉田水脈議員の寄稿文の矛盾点に、鋭くダメ出しします!
サムソン高橋さんと能町みね子さん

左から、サムソン高橋さんと能町みね子さん

新潮社出版部文芸のTwitterはダサい

――世間では、「新潮45」に限らず、「新潮社の本はもう買わない」という声まで上がっていました。 能町みね子(以下、能町):私はそうしようとは思わなかったです。新潮社が全部ヤバイ、というわけでもないですし。ただ、私は新潮社出版部文芸のTwitterのほうがダサいと思った。なに綺麗事いってんだ、と思って。 新潮社出版部文芸の人たちが「新潮45」を批判するツイートをリツイートしまくっていて、それを見た人たちが、「新潮社のなかにも良心があるんだ、がんばれ!」とか応援してたけど、私は、「なにリツイートでやってんだ!」と思ってましたね。自分でなにか言うならともかく、人の意見を載せて様子をうかがうって、そんなにたいしたことじゃないじゃん!ってサムソン高橋(以下、サムソン):私は、新潮の雑誌部ってすごくゲスなもんだと思ってたから、今回のような記事が載っても不思議じゃないと感じていたんですね。だから、文芸部と雑誌部で、だいぶ意識が違うのかなとは思ってるけど。 杉田水脈衆議院議員が寄稿した「新潮45」8月号能町:そりゃそうだよね。でも、私そもそも、新潮になんの情けもないんですよね。 サムソン:無理もないよね。今まであてがわれた編集者がことごとく……。 能町:たまたま、ことごとく駄目な人ばっかりだったから。以前は、家から一番近い一流出版社だから、「新潮から仕事が来て、会社に通う日々になったらステキだな~」と、結構夢見てたんですけど、実際には、もらう仕事もらう仕事、編集者がだめで、幻滅することが何回もあったんですよね。 サムソン:la kagu(ラカグ/新潮社とサザビーリーグがコラボレーションしてできたキュレーションストア。神楽坂にある新潮社の倉庫跡に建てられた)もあるしね。
能町:la kaguもまず、隈研吾の建築がださい。バリアフリーの逆をいく、いまどきひどい建築。 それに、新潮の私の担当だった編集者は、「相撲の企画やりましょう」って言ってきてくれたんだけど、巡業の取材ということで、私が朝がんばって起きて埼玉の熊谷まで行ったら、その編集がいない。あれ?と思って連絡したら「すみません、今起きました」って。 一同:えー……! 能町:だから、新潮に別にいい思い出がないので、私は今回、心置きなくディスれるんですよ(笑)。社長のメッセージもださいし、ぜんぶ下手こいてますよね。騒動後にはじめて出した社長のコメントがウヤムヤなごまかしかただったから、雑誌は続けるのかと思っていたら、意外とかんたんに折れて休刊しちゃったしね。だったらちゃんと謝りゃいいのに。
新潮社代表取締役社長コメント

新潮社は9月21日に代表取締役社長のコメントを出し、同25日には休刊を発表した。新潮社ウェブサイトより https://www.shinchosha.co.jp/news/20180921.html

サムソン:とはいえ、こういう結末になってしまうと、ほんとに雑誌が売れてねえんだなあ、って切ない気持ちになるよね。 能町:切ないねえ。雑誌が赤字だから、つぶす口実ができたということかもね。 サムソン:逆にさあ、小川すいみゃく……、 能町:ちょっと、どっちどっち?(笑)。 サムソン:小川すいみゃくじゃなかったっけ!? わかんなくなっちゃった……、杉田水脈の件をきっかけに、リベラルと保守は話し合おうって言ってる人もいるけど、このレベルの低いものを土台にして話し合う気になるのか!? 能町:なれないよ。もうちょっとましな人ならともかく、お話にならないですよね。でも、そう言うと、「具体的にどこが悪いか指摘していない」っていう反論をされがちだから、もういまさらって感じもするんですが、何箇所かぐらいは言っとこうかな。

みね子の赤字が炸裂するぞ!

能町みね子さん能町:まずひとつ目。さっき言った通り、LGBTを取り上げた記事数について、朝日新聞より毎日のほうが件数多いのに、無理矢理朝日批判をしようとしているところ。「この1年間で、LGBT(中略)がどれだけ報道されてきたのか。新聞検索で調べてみますと、朝日新聞が260件、読売新聞が159件、毎日新聞が300件、産経新聞が73件ありました」 ……特集は「日本を不幸にする『朝日新聞』」だから、朝日をたたこうと思ったのに、毎日のほうが件数が多かった……この時点で矛盾ですよサムソン:事実に即せば「日本を不幸にする『毎日新聞』」、だったんですね。 能町:ほんとはね。で、いきなりここでつまずいたんですけど、なんとかここを「朝日新聞や毎日新聞といったリベラルなメディアは……」とひとまとめにして批判しつつ、「発行部数から言ったら、朝日新聞の影響の大きさは否めないでしょう」と無理やり乗り越える。 つまり、LGBTの記事は毎日新聞のほうが多かったけど、発行部数を持ち出して無理やり説得力をもたせようとしていますね。 サムソン:毎日新聞の立場が(笑) サムソン高橋さん能町:次。「LGBTだからと言って、実際そんなに差別されているものでしょうか」と言って、データでも持ってくるならともかく、「もし自分の男友達がゲイだったり、女友達がレズビアンだったりしても、私自身は気にせず付き合えます。(中略)多くの人にとっても同じではないでしょうか」という主観、証拠ともいえないものでここを乗り切ってるんです。すごいよね、この理屈。なんの説得力もないんだよね。 サムソン:ぼんやりしてんなあ~。 能町:「私がそうだから、きっとみんなもそうですよ」って言ってるんですよね。 サムソン:ここはみね子のターンで、どんどん続けちゃってください!
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「ソースきぼんぬ」な箇所が続出…
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女装パフォーマー/ライターのブルボンヌ氏がプロデュースするミックスバー。
日替わりキャストとしてサムソン高橋氏も店に立つ。(現在は月曜担当。変更の可能性あり)
新宿区新宿2-10-7 TOMビルB1FA
TEL:03-3354-6066
詳細はtwitterアカウント @Campy_bar
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