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問題作『中学聖日記』から深夜『文学処女』まで…少女漫画原作ドラマ5本を総レビュー

『深夜のダメ恋図鑑』尾崎衣良:著

 原作はもう、男に対する鬱憤(うっぷん)をこれでもかと晴らしまくってくれる爽快な物語です。女3人が自分たちの恋バナを報告し合うというだけなんだけど、これがホントあるあるで笑えます。 深夜のダメ恋図鑑 この作品のポイントは、登場する男性たちが「こういう男、いるいる!」って思えること。だけどドラマ版では、ちょーーーっとそう思えないんですよね(女性3人役は、佐野ひなこ・馬場ふみか・久松郁美)。  演じる男性がいまいちピンと来てないのか、読者が想像力でカバーしてた部分が大きかったのか、観てるとちょっと違和感があり、マンガほどには楽しめないのが残念。ドラマを見て「こんな男いる?」って思った人も、原作をぜひお試しいただきたい。

『僕とシッポと神楽坂』たらさわみち:著

 東京・神楽坂を舞台にした動物病院の医師の物語。大御所作家らしく、落ち着いたストーリーのまとめっぷりが安心できる作品です。 僕とシッポと神楽坂 ドラマの主演=獣医役は、嵐の相葉雅紀くん。これはキャラのイメージにピッタリだ……! ただ、激しい萌えシーンも陰謀もなく、あまりにお話がアットホームすぎて、私には向かなそうです。

『文学処女』中野まや花:著

 作家と編集者という、少女マンガというかティーンズラブではあるあるの恋愛設定。  文学処女 原作は、怒濤のようにやってくる寸止めと少女マンガ定番の展開と、ほんのりBLテイストで、多くの読者を悶えさせてます。原作の文芸編集者・月白鹿子は、さっぱりしていて性的なものを感じさせない。それに、これまた細身でオスを感じさせない男性たちが微妙に絡んでくるところがエロティックさとのバランスがいいのです。  ですが、ドラマでは、主人公の月白(森川葵)が少し肉感的なので、めっちゃエロティックだけど、ちょっと生々しくて気持ち悪いかも……(人気作家役は城田優)。マンガと実写のギャップをうまく埋められていない感じがします。 <文/和久井香菜子>
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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