Lifestyle

やっぱり“デブは恥”?なぜフランスの子供は太らないのか

 子どもの肥満が社会問題化しているイギリス。すでに導入されている砂糖税の他に、レストランで出すピザやパイのカロリーに上限を設けるべく保健省が検討している、というニュースがありました(2018年10月15日、時事)。冗談抜きで深刻な事態なんだそうです。

子供の肥満

写真はイメージです。(以下同)

 2歳から15歳の子どもの3分の1が太りすぎで、特に10歳と11歳では過去最悪の数値だったとの報告もあります。原因は、高脂質、高カロリーの食事と、慢性的な運動不足。

 近年、日本でも子どものメタボが問題になっていますが、WHO(世界保健機構)の調査によると日本の5~19歳の肥満率は14%と、まだ少ない方(2017年10月発表)。とはいえ、コンビニやファストフードを利用する機会が多く、塾や部活などで食事の時間も不規則になりがちです。他人事ではありませんよね。

 子どもの肥満を防ぐために、親に何が出来るのでしょうか?

フランスの小中学校は自販機もスマホも禁止


 ひとつの問題提起として、イギリスの保守系論説サイト『The Spectator』の記事をご紹介しましょう。

 題して「なぜフランスの子どもは太らないのか」(2018年10月20日)。コラムニストのギャヴィン・モーティマーが、13歳の娘が通うパリの学校にどれだけ肥満児がいるか数えたところ、全学年で5人にも満たなかったそうなのです。

 そこでモーティマーは校内の環境に注目します。まず自販機がありません。飲みたくてもジュースが存在しない環境なのですね。口にできるのは水だけ。そしてお昼ごはんは学校のカフェが用意するバランスの取れたメニュー。各家庭からお弁当を持ち込むことは禁止されています。子どもの好きなおかずばかりになってしまうのを防いでいるわけです。

フランスの学校にはこんなカフェが…

フランスの学校にはこんなカフェが…

 食事だけではありません。放課後の遊びも、テレビゲームやスマホでのメッセージ交換ではなく、身体を動かすレクリエーション。2018年9月からは、小中学校内で生徒がスマホ等を使うことを法律で禁止しました。
 つまり、不健康やストレスをもたらす要因を、子どもたちのそばから強制的に切り離している。それを大人の責任だと考えている点が、フランスの特色なのですね。

“デブは恥”という感覚の根っこ


 こうしたフランス的“大人の責任”の根っこにあるのが、“デブは恥”という感覚だと、モーティマーは論じています。なぜなら、フランス人は「見た目こそが、自分の受けてきた教育を映し出す」と考えているから。だらしなく太っている人には規律や教養がないとみなされる社会だといいます。

 一歩外に出れば誰もが公人なのであって、他人に不快感を与えない程度に自らを律する義務がある。お互いがその義務を果たし合って、はじめて個人の自由が成り立つと考えているのでしょう。
 だから、フランスの学校がジュースやスナック菓子を置かない理由は、単純に医療政策や法的な規制があるからではありません。それは子どもたちに継承すべき哲学の話なのですね。

 最後に、モーティマーはこう記しています。「フランスの親たちは、子どもを友達のようには扱わない。あくまでも子どもは子どもであり、教養を身に着けさせ、規律と自制心の大切さを教え込むべき存在なのである」。

日本の子ども

日本でも子どもの肥満が問題になっている

 嫌われるのを恐れずに“ノー”と言える勇気。フランスの子どもたちを肥満から守っているのは、成熟した大人の見識なのかもしれませんね。

<文/石黒隆之>

石黒隆之
音楽批評。ipodに入ってる曲は長調ばかりの偏食家




あなたにおすすめ