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『まんぷく』安藤サクラ&長谷川博己の夫婦像が、スレた私たちに教えてくれること

 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)は、ひと昔前を描く物語であっても、視聴者は現代人。時代背景のディテールには正確さが必要ですが、人物像などは現代人が共感できることがポイントです。

 たとえば、『ひよっこ』(2017年4~9月、有村架純主演)は脚本・演出が巧みで、1960年代の懐かしい風景や風俗を盛り込みながらも、人物の描き方や会話の運びは、しっかり現代劇でした。

『まんぷく』公式サイト

『まんぷく』公式サイト https://www.nhk.or.jp/mampuku/

 いま放映中の『まんぷく』も同様に、戦前・戦中・戦後を描きつつも、キャラクターや関係性などは現代の空気にピタリと合っています。『まんぷく』は、インスタントラーメンを発明した日清食品創業者の夫婦がモデルですが、福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)の夫婦像は、私たちが学びたい点がたくさんあるのです。

幸せの沸点が低くて楽天的


 学びたいことの一つは、「幸せの沸点の低さ」。
 たとえば福子は、父親の会社倒産によって貧しい家で育ちます。女学校時代、毎日「ちりめんじゃこ弁当」でありながら「おかげで骨が丈夫やの」と言うおっとりポジティブぶりは、ぜひ真似したいところ。

 愛する姉の死、萬平の収監と、次々に襲ってくる悲しい出来事に対しても、よくある朝ドラヒロインなら歯を食いしばって立ち上がるところ、福子はそうではありません。福子の場合は、辛い状況でも、外ではそうした感情を見せず、とりあえず「ひきつった笑顔」を顔にはりつかせてやり過ごそうとするのです。

 これは「楽天的」に生きてきた福子の無意識の習慣なのでしょう。

人を嫌わない、いつでもおだやか


 萬平もまた、会社の共同経営者に裏切られ、憲兵に連れていかれて拷問されるという酷い目にあったのに、「全然恨んでいない。会社の経営を全部やってくれて自分はモノ作りに専念できたから、むしろ感謝している」というお人好しぶりです。

 そして、福子の同僚・恵(橋本マナミ)に「似た者夫婦」と言われ、「嫌いな人いないでしょう?」と聞かれたときの「嫌いな人……?」というリアクションにも福子の人柄があらわれています。

「人を嫌わない・憎まない」という強い信条や強い感情を持っているのではなく、おだやかにナチュラルに、誰かを嫌いだと感じることがないのでしょう。


 ドラマチックで起伏の多い人生でありながら、感情の起伏はあまりなく、常に穏やかにゆるやかにやり過ごす。
 現代もストレスフルな時代で、とかく「自分の痛み」にばかり目を向けがちな人が多いですが、福子と萬平の穏やかさは羨ましい限りです。

 疎開先でも囲炉裏(いろり)を囲んで食事をしたりする様子は豊かに見えますし、電柱から「盗電」して電球をつけたり、川に電気を流して魚をとったり……もちろんこれは注意を受けますが、それでもやっぱり楽しそう。
 どこでも、どんな時代でも、どんな境遇にあっても、この二人なら幸せに生きられるのだろうなと想像できます。

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見習いたい…夫・妻としてのふるまい

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