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居場所がない夫は浮気する?会社でも無視され…『黄昏流星群』のヒサンな主人公

親ゆずり? 父の左遷を知った娘の心ない言葉

 そして、若いのに「世間体」や「見栄」にとらわれているのは娘(石川恋)も同じ。 「私が結婚するまでせめて銀行にいてほしかった」 「でもきっと出向になったこと、近所の人にはバレるよね」
 妻が「大事なことを話してくれなかった」と傷つき、「私ってそんなに頼りにならない?」と夫に言うのはまだわかる。  しかしこれほど娘が世間体を気にすることには違和感がある。親が周りの目ばかりを意識していると、娘もこんなふうになってしまうというアンチテーゼか。

浮気するのに「理由」は必要なのか?

 社会的肩書き、学歴、勤め先の企業名、居住地などなど、「世間」が「価値」としているものが、そのまま「幸せ」につながるという考え方は、自分も他人も縛りつけて不自由にさせるだけだ。他人の評価などどうでもいい。自分が楽しいと思った人生を歩めればそれでいい。そういう社会になれば、どれほどの人がラクになるかわからない。  穿(うが)った見方をするならば、そんなふうに社会的にガチガチに縛られていた完治だからこそ、「世間体」を振り捨てたとき、不倫に走らざるを得ないというふうにドラマは進んでいくのだろうか。あるいは心から愛する人ができたから、その情熱によって見栄やプライドから脱することができたとか?  現実には、追い込まれなくても不倫は起こりうる。仲のいい夫婦であっても、「運命の人」に巡りってしまう可能性はあるのだ。もっと人の心の奥に根ざした、自然な不倫ドラマはできないものだろうか。  今の時代であっても、「誰もが納得する言い訳」がなければ「不倫ドラマ」は成立しないのが、なんともむずがゆい。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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