劇団EXILEの映画『jam』(2018年12月1日公開)では、町田啓太(ポスターの一番下)は瀕死の恋人を守る男を演じる
それに加えて、町田啓太のプレーンな演技にはたくさんの「余白」があるために「相手を丸ごと受け入れる、スキだらけの緩さ」と「何も見ようとしない、
過剰な臆病さ」を視聴者に想像させるのです。
町田啓太が演じる勝太郎は、「鈍感なさわやかくん」に見えつつも、実は婚約者に別の相手がいるのではないかと感じていて、「気づかないふり・見ないふり」をしてきました。
そんな心情を相手に悟られず、また、「事実」が明らかになったときですら「信じてる」の言葉で逃げ、事実と向き合おうとしない弱さが悲しみを誘います。
さらに、疑惑を飲み込み、笑顔を作り続けてきたのにいざ婚約者に別れを告げられた途端、
醜い感情を爆発させ、捨てゼリフを吐いてしまう脆(もろ)さ。そこまで保ってきた「良い人」感が一瞬にして台無しです。
実はこの別れ際は、原作とは異なり、ずっと人間臭い演出になっています。
それは、町田啓太が演じるからこそ「さわやか不憫婚約者」が、単に「良い人」「かわいく切ない人」ではなく様々な矛盾をはらんだ人間臭さをともなって、立体感を帯びてくるのではないでしょうか。
今後のドラマ界に、楽しみな人材です。
<文/田幸和歌子>