「B子が『
ねえ滝田君、大島ミドリさんって知ってる? こないだうちに入社してきた人なんだけど、△△美大の広告研究会にいたっていうから、知り合いかなと思って』と言ってきたんです。僕は激しく動揺しました。ずっと音沙汰の知れなかったミドリが、B子の会社にADとして中途入社してきたんです」
18歳の時から10年近くその面影を追い続け、
「ミドリに似たウエイトレスのいる喫茶店を行きつけにした」というほどミドリさんに惚れていた滝田さんは、「こういう縁だから3人で会おうよ」と言い、ミドリさんと再会する。

「ミドリに惚れていたことは、もちろんB子に内緒です。それで5年ぶりくらいにミドリに会ったら、相変わらずの美人で……。しかもサークルの先輩とはもう別れているというではありませんか。これは、神様が“行け”と言っているんだと思いました。
ミドリと結婚しない人生なんてありえない。気持ちは固まりました」
ここで滝田さんは、信じがたい行動に出る。
「
僕はB子を1年かけてその会社から辞めさせました。そのうえでB子に別れを切り出し、改めてミドリに言い寄ったんです」
滝田さんはB子さんに、「今の会社は給料良くないし、勤務時間も長いし、競合の△△社が募集してるから、受けてみなよ」とじっくり時間をかけて吹きこみ、B子さんが自発的に転職活動するよう、仕向けたのだ。それに要した期間が1年というわけである。
「B子とミドリは仲が良かったので、B子がその会社に所属しているままでは、仮にB子と別れたとしても、ミドリに言い寄ったところで『え……、だって滝田君、B子さんとつきあってたじゃない……』となる。これは絶対に避けたかったんです。
僕はなんとしてでもミドリを手に入れたかったので、念には念を入れ、万全を期したわけです」
その周到さと情熱が実を結び、ふたりは交際をスタート。
なんとその1年後に結婚してしまう。滝田さん30歳、ミドリさん31歳。まさかの急展開である。