松本人志も絶賛する紺野ぶるまは過小評価?「女ウケが悪い」のウソ
先日、12月10日に日本テレビ系で放送された「女芸人No.1決定戦 THE W」。残念ながらレベルが高いとはいいがたく、阿佐ヶ谷姉妹の優勝という消去法のような結果で幕が下りました。
その中で、副音声を担当していた松本人志さんが出場芸人の中でひときわ評価していたのは、二位だった横澤夏子さんに接戦で敗退した紺野ぶるまさんでした。
「『AKBにいそう』って、このご時世もはや悪口だと思うよ」「(競馬やパチンコの趣味を売りにすることを)墓場って呼んでるから!」といったパワーワードを携え、『上京して芸能界に入ったもののパッとしない女』を演じたネタを披露した紺野ぶるまさん。
ではなぜ、彼女は女ウケが悪いと言われてしまうのでしょうか?
残念なことに芸人の世界はいまだに男性優位であり、女性芸人が評価を得るためには相当な努力と才能、そしてメンタルが必要です。そのため女性芸人のほとんどは自分の容姿のマイナス面を表に出して、全方向的に敵を作らずサバイバルしているのが現状なのです。
紺野ぶるまは女ウケが悪い?ネットではむしろ男ウケが悪い
ちんこなぞかけやアンダーヘアあるあるなど、下ネタも得意としていることで、世間――特に男性からは、女性ウケが悪いと勘違いされがちです。現に松本人志さんも、副音声で『紺野さんは女受け悪い』という評価を周囲から聞いているという趣旨のことを喋っていました。 紺野さんのネタに出てくる着眼点の鋭いワードの数々は、女性であれば「わかる」と頷ける部分が多く、むしろ男性が嫌悪しそうな生々しさがあります。 2017年の「THE W」や「R-1ぐらんぷり2018」で披露した『スペックが微妙な恋人からのプロポーズを断る31歳の女』を演じたネタでは、「2年後にあなた以上の男が現れなかったら、もう一度プロポーズして」「(山登りの思い出で)私、自分の足で登ったのに、俺が見せてやった感すごい出してきて」などというフレーズが炸裂。
女性の本音溢れるネタにいい気分にならなかった男性が多かったのか、ツイッターの実況では『クソ女』『女って怖い』などと、男性の批判を多く浴びていました。実際、今回の「THE W」でも、『紺野ぶるま』でツイート検索をしたところ、批判していたのはネタにされていたAKBのファンと競馬ファン、つまり相対的に男性が多いようでした。 ただ、「R-1ぐらんぷり2017」で披露した占い師ネタでは、「BIGBANGと3代目JSoulBrothersは、興味ない人間にとって違いがわからない」という毒を吐き、双方の女性ファンを激怒させていた様子。 要するに毒舌の餌食になった対象が紺野ぶるまさんを批判しているだけで、男であろうが女であろうが彼女のネタのウケは関係ないのではないと思われます。
紺野ぶるまがブレイクするためには?
そんななか、紺野さんのような美人と形容される女芸人は『同性ウケが悪い』と勝手に判断され、その偏見も彼女の評価に影響を与えているのではないでしょうか。実際に「美人すぎて女性の嫉妬でコンテスト敗北か」と煽るネットニュースがあったり、SNSでは「女を敵にするというのがわかってしまったな」などの書き込みも見られました。 一般的にささやかれているそのイメージは、面白さを心の底では認めつつも「女性は感情的でミーハー」「本当の笑いは女にはわからない」と決めつけたい世間のバイアスがかかっている可能性があります。 ですが鳥居みゆきさんや友近さんなど、紺野さんのように容姿をネタにしていないにも関わらずブレイクした女性芸人はいずれもネタの精度が高く、安定した人気を維持しています。これは自身を貶めないネタを貫いた彼女たちだからこそ、本当の笑いが追究できている証拠ではないでしょうか。 女性芸人枠というものに縛られ、いまひとつブレイクしきれない紺野さんですが、松本さんも評価する面白さは折り紙付き。「R-1ぐらんぷり」や「THE W」で二年連続決勝進出していることから、その実力は誰もが認めるものです。 実力派女芸人として2019年のブレイク候補No.1。今後も紺野ぶるまさんから目が離せません。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦