ビヨンセのサイトを視覚障害者が提訴。“クレーマー”と言う日本人の無知コメントも
ビヨンセが所有するマネジメント会社が、公式サイトでの視覚障害者対応を怠ったということで、全盲のファン(米国在住)から訴えられたとニュースになりました。
報じたのは今年1月3日のThe Hollywood Reporter。原告がBeyonce.comにアクセスしたところ「介助なしではサービスやショップにたどりつけず、同サイトは障害者差別禁止法に抵触している」と主張しています。
「ビヨンセのサイトを見ましたが、確かに、画像ばかりでalt(※1)もなく、ひどいですね。ただメニューから入れば、必ずしもショップに行けないわけでもないので、訴訟対象かどうかは疑問も残ります」
そう語るのは、情報のユニバーサルデザインを研究・推進している関根千佳さんです。
※1)alt:画像の代替となるテキスト情報で、簡単に設定できる。音声読み上げブラウザを使えば、この代替テキストが読み上げられ、視覚障害者も画像の内容がわかる。
「先進諸国では、ユニバーサルデザイン(=どんな人でも利用できる)に対応していないサイトは、人権侵害として扱われます。多くの訴訟が起こされており、高額の罰金が科せられた事例がたくさんあるんです。障害者や高齢者がアクセスできないサイトは、いわば男性トイレのないオフィスのようなもので、特に公的機関では絶対に許されません。
近年、企業のサイトでも誰もが使えるデザインは良識として当然視されるようになりました。視覚障害以外にも、肢体不自由や聴覚障害の方が使えるかも対象になります。MITやハーバード大のサイトも配慮に欠けたため改善命令が出されました。2015年~2017年までの3年間にWEBアクセシビリティ(※2)で1133件以上もの訴訟が起こっています。この数年間で15倍以上に増えているのです」
※2)WEBアクセシビリティ:高齢者や障害者など年齢的・身体的条件に関わらず、ウェブで提供されている情報にアクセスし利用できること
障害者が使えないというだけで訴訟になるなんて大げさな、と思いますか?
このニュースが日本で報じられると、ネット上では「原告はクレーマーだ」「介助してくれる友達もいないのか」などのコメントが見られました。ですが、これらのコメントは無知と言うほかありません。
「誰もが使えるサイト」が先進国の常識に
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