台所スポンジは菌でいっぱい…。泡やレンジでは消毒できないの?
これまで3回に渡って“正しい掃除”の方法をお話いただいた、日本ヘルスケアクリーニング協会代表理事で『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)の著者の松本忠男さん。
今回からは、掃除にまつわるウワサや、巷(ちまた)で話題の便利グッズなどを中心に、場所別の掃除術を伺っていきたいと思います。まずは「キッチン」からいってみましょう。
――キッチン掃除で気を付けるべきことはありますか?
松本忠男さん(以下、松本)「やはり、雑菌をきちんと“殺菌”することです。
薬局で売っている『消毒用エタノール』は80%前後、『無水エタノール』は99.5%以上とアルコール濃度が高く、殺菌効果があるので、それらを使うといいでしょう。ただ、菌を殺したり、ウイルスを不活性化させるには、菌やウイルスによっても異なりますが定着時間が15秒以上は必要なので、一瞬で揮発する高濃度の無水エタノールより、若干濃度の低い消毒用エタノールの方がキッチン消毒に向いています」
――除菌剤でも、アルコール入りなら少しは殺菌や消毒の効果が見込めるのでしょうか?
松本「スーパーなどで手に入るものはアルコール濃度がかなり低いので、“除菌”だけで“殺菌”や“消毒”はできません。逆にいうと、濃度が低いからスーパーなどで買えるんですよ。前回お話した通り“除菌”はとても曖昧な表現で、“除菌”と“殺菌”はまったく違うので、しっかりと理解したうえでチョイスしてほしいと思います」
――食器スポンジは菌の宝庫と聞いたのですが、どのように管理するのがいいのでしょうか?
松本「“殺菌”と“乾燥”の2つです。大概の雑菌は80度以上で死にますから、熱湯をかけると消毒できます。ただ、湿ったままだと残った菌が繁殖しやすいので、乾燥を早めることも大切。食器スポンジは中まで水が浸透して乾燥しづらいので、天日干しがおすすめです」
――食器スポンジの消毒テクニックとして「電子レンジでチンする」という方法がネットを中心に紹介されているのですが、効果はありますか?
松本「“熱消毒”という意味ではいいのかもしれません。ただ汚れは食器スポンジの中に留まったままなので、水で洗い流すなど“除去する”作業も必要だと思います。そう考えると、熱湯をかけるだけの方がかんたんな気もしますが……(笑)。
それに、汚れた食器スポンジを食品を扱う電子レンジに入れるのもどうかなぁと思うし、食器スポンジの耐熱温度によっては、縮んだり硬くなったりしそうですよね」
――泡で除菌できるタイプの食器用洗剤はどうでしょうか?
松本「泡はつまり洗剤なのですが、食器用洗剤に入っている界面活性剤は、水と油を乳化させることで落としやすくする手助けをしているだけで、“殺菌”の効果はないので、『食器スポンジに洗剤がついているだけ』ですね(笑)。
“除菌”するにしても、電子レンジ消毒と同じで、水で洗い流すなどの“除去する”作業が必要で、『食器用洗剤だから除菌できる』というわけではありません。ただ、食器用洗剤を使うことで、水だけより油汚れなどに絡まった菌を除去する効果は高まります」
――ラクはできないということですね。何かいい方法はないでしょうか?
松本「洗い物のたびに熱湯をかけて干して……は確かに大変だし不便ですよね。少しでも手間を省きたいなら、お風呂で使う垢すりタオルのようなネット状のスポンジを使えば、乾きが早いので天日干しの手間が省けます。
ただ使い心地があまりよくないので、食器スポンジのスペアをいくつか用意して、干しているあいだもほかスポンジを使えるようにしておくといいかもしれませんね」

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