2018年に警察に寄せられた、配偶者からの暴力についての相談は8421件。前年より23.5%も増え、うち8割は女性が被害者です。
でもこれは氷山の一角。精神的DVも含む被害者のうち「警察に通報・相談した」のはたった2.2%です(内閣府・男女間における暴力に関する調査・平成29年)。

「離婚110番」の渋川良幸氏は、森川さんのケースについてこう話します。
「夫が豹変したのは、浮気のせいだと森川さんは思い込んでいました。浮気をやめればDVもしなくなって元の夫に戻ると。でも、これは大きな間違いです。
他の被害者に共通するのは『何かの節目によって、相手が変わる』と信じ込んでしまうことです。例えば、引っ越し、転職、出産、親と死別したなどの理由です。でもいつか元に戻ると信じるのは危険なことです。
さらに被害が加速していきますから、取り返しがつかなくなる前に、警察に届けましょう」
警察に行くことを、森川さんが想定していなかったことも、被害者に共通することだと指摘します。
「周囲は『どうして警察に相談しないの?』と首を傾げるでしょうが、DV被害者の心理として、自分が被害者であるということを一時的に忘れてしまう、時には判断がつかなくなってしまうこともあるのです。
被害女性の複雑な心境も描いたドラマとして記憶に新しいのは『ナオミとカナコ』(フジテレビ系。16年放映)。DV被害者の揺れ動く心理を、カナコ役の内田有紀が見事に演じていましたよね」(澁川さん)
DV被害者は、周囲に理解されないとますます孤立してしまいます。身近に被害者がいる場合は、その複雑な心理も受け入れつつ、警察やDV専門機関への相談を勧めるべきなのでしょう。
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シリーズ・DVを体験した女性たち―
<取材・文/夏目かをる>
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