激変!バッグよりスニーカーにお金を使う女性が増えてるわけ
アメリカでファッション売れ筋商品が劇的に変わり始めています。
その一番分かりやすい例が、高級スニーカーのバカ売れ。オンラインでの消費者の購買動向やSNSで話題にされる頻度から分析して、ファッショントレンドをランキング形式で発表する『Lyst』によると、2018年は男女ともにストリートファッションが存在感を強め、中でも500ドル以上する高級スニーカーに人気が集中したとか。
一体なぜこのような変化が起こっているのでしょうか?
『Lyst』のランキングでは、2018年の第4四半期(10~12月)の「売れ筋女性ファッション商品トップ10」のうち6商品がフットウェア、男性ものも3商品がフットウェア、その他の6商品はストリートまたはアウトドア系ブランドのジャケットがランクインしました(残りの一つはなぜかバスローブ)。
『ビジネス・インサイダーBusiness Insider』の分析では、この傾向はダッドスニーカーに代表される“アグリー(醜い)ファッション”のブームが主な原因だそう。
マーケティング・リサーチ会社NPDグループの発表によると、現在、高級ファッションのオンライン売り上げの半分近くがフットウェアになっており、ハンドバッグより靴にお金をかけるアメリカ人が増えているのだとか。
ダッドスニーカー人気の火付け役となった9万円超えの「バレンシアガ トリプルS」が今も売れ続けていること、前述した売れ筋ランキングにも「フィラ」のダッドスニーカーが含まれていることなどから、「同じ金額を出すならハンドバッグより靴」という若者が増えていると結論づけました。

さらに注目したいのは、『Lyst』の「売れ筋ブランドランキングトップ10」で「グッチ」と「OFF-WHITE(オフホワイト)」が年間を通して上位2ブランドの座を争い、第3四半期は「OFF-WHITE(オフホワイト)」が首位になっていたこと。
どうせお金を使うならバッグよりも靴?

トリプル S トレーナー ¥ 100,440(税込み)バレンシアガ公式サイトより https://www.balenciaga.com/jp/triple-s-shoes_cod11312778xh.html
「ストリート化」「インスタ映え」で高級ブランドのヒット商品激変
どちらもフットウェアを取り扱っているブランドですが、共通するワードはむしろ「ストリート化」「インスタ映え」の方。 ここ数年、ラグジュアリーブランド界で巻き起こるストリートウェアブームとSNSを利用した若者向けのマーケティング戦略によって、「グッチ」もストリート色が強くてインスタ映えするデザインが多くなっているようです。 実際、昨年のホリデーシーズンにボストンの「グッチ」ショップを訪れたところ、ストリートファッションに身を包んだ若者たちで賑わっていました。
対する「OFF -WHITE(オフホワイト)」は、昨年3月から「ルイ・ヴィトン」のメンズウェアのアーティストティックディレクターに就任したヴァージル・アブロ(37歳)が手がける超人気ストリートブランド。 『ファッションビーンズ Fashion Beans』によると、2025年までに高級ブランド商品の43%がミレニアル世代や81年以降に生まれたジェネレーションZに買われるようになるのだとか。 そう考えると他のラグジュアリーブランドを差し置いて、若者に人気のストリート系ブランドが上位に食い込んでいるのも納得。 セレブのインスタグラムに影響を受け、自らもそのコーデ術をSNSで発信していくのが日常化している若年層に強いブランドやスニーカーが年々売り上げを伸ばしているのは当然の現象なのですね。 Sources「Business Insider」「Fashion Beans」「Lyst Index Q42018」(日本語サイト)「Lyst Index Q32018」 <文/アメリカ在住・橘エコ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。