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アラフォー独身女性は「女の幸せ」という呪いから逃れられるのか

 王子様に見初められて結婚してハッピーエンド。『マレフィセント』や『アナと雪の女王』に見られるように、いまや本家ディズニーですら、そんな女性が男性の庇護や愛によって幸せになる物語をつくらなくなりました。  女性の幸せは必ずしも結婚や子育てとは限らない。頭ではわかっちゃいるけれど、ふとこのままでいいのか迷いが生じるのが、40前後の女性の心のうち。 エーデルワイス そんな迷えるアラフォー女性たちに贈る“新しいおとぎ話”が誕生しました。現代女性の醜くも可笑しい実態を描くことに定評のある演劇ユニット「ブス会*」。その最新作『エーデルワイス』(東京芸術劇場・2/27~3/10)は、女優・鈴木砂羽を主演に迎え、43歳独身の漫画家・森アキナ(鈴木演じる)が過去の自分と向き合いながら「女の幸せ」という“呪い”に対峙する物語です。  アラフォー独身女性がそんな呪いから逃れる方法はあるのか、脚本・演出を手掛けるブス会*主宰のペヤンヌマキさん(42歳)に聞きました。
ペヤンヌマキさん

ペヤンヌマキさん

20代の自分と決着をつけたかった

――鈴木砂羽さんの出演はオーディションで決まったそうですね。 ペヤンヌマキ(以下、ペヤンヌ):ブス会*がオーディションを開催したのは、旗揚げの時以来です。今回は新しい出会いを探そうということで実施したんですが、前回の公演を観てくださった砂羽さんが「受けたい」と言ってくださって。 砂羽さんには強い女性というイメージがあると思いますが、内に抱えた弱さが私と似ていると感じました。そして、その弱さを補おうとするエネルギーを創作に向けるところも。砂羽さんは実はご自身でも漫画を描いていらして、女優さんの中でも創作寄りの感覚をもった方だと思うんです。そして、40代の女性が抱く葛藤も共有している。彼女なら私の気持ちを体現してくれると思いました。
稽古中の鈴木砂羽

稽古中の鈴木砂羽

――40代女性が抱く葛藤を作品のテーマに据えようと思ったきっかけは? ペヤンヌ:40代を迎えて、結婚も子供もナシ、という状態に不安がよぎったんです。こういう職業ですし、世間一般の女性の幸せにとらわれる必要なんてないと思いながらも、自分って惨めだな、と思ってしまう瞬間がある。仕事も充実しているし、そんなふうに思う必要はないのに、なんでだろう、と。 そうして考えてみたら、20代の頃を振り返ることが多かったんです。その頃の自分と決着をつけたかったのかもしれません。

左から、鈴木砂羽、藤井千帆。藤井は主人公アキナの描く漫画内の主人公ミユキを演じる

――どんな20代だったんですか? ペヤンヌ:その頃の私は、男性に依存しまくって、自分がありませんでした。大学時代から演劇をはじめたんですが、才能のある、カリスマ性の強い男性に惹かれて、その人の才能にあやかっているところがありました。でも、自分も仕事をはじめ、成長していくにつれ、そういうタイプの男性と合わなくなっていったんです。 30代でブス会*を立ち上げて、ものをつくる立場になると、さらに。どちらかというとライバルになってしまって、恋愛対象じゃなくなってしまった。気づいたら、プライベートがなくなっていました。神社とかに行ってお参りするときも、「仕事がうまくいきますように」「次の芝居が面白いものになりますように」と真っ先に拝んで、あとから、「あ、彼氏ができますようにって言うの忘れてた」と気づく、みたいな。
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「女の幸せ」の呪いから解き放たれるには
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