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愛犬がガンに。リスクのある治療をするべきか…飼い主の選択は?|ペットロス Vol.22

検査の結果は「低悪性度のリンパ腫」

 それでも、いざ同意書を目の前にすると恐怖で体が震えました。過去何回も、いろんな動物たちの手術や麻酔の同意書にサインしてはきましたが、今回ばかりは気軽にサインという訳にはいきません。
愛犬の治療

写真はイメージです

私の決断がケフィを殺してしまうかもしれない」と思うと、体が震えて心臓がばくばくしました。手には冷や汗。ペンを握ると手が小刻みに揺れ、うまくサインをすることができませんでした。  結果的には、ケフィは全身麻酔での検査を難なく乗り越えてくれました。検査をしたおかげで、体のあちこちに血栓ができていることがわかりました。心臓と肺をつなぐ血管には、とくに大きな血栓(肺動脈血栓)があり、それが呼吸や体液の流れを邪魔して、心臓や胸に水がたまったようです。血栓をこのままにしておけば、呼吸困難や血栓の破裂による突然死の可能性があると言われ、血栓を溶かす薬が処方されました。  さらに組織を採取しての病理検査によって、ガンも発見されました。高分化(低悪性度)のリンパ種と言うのが、正式な診断名でした。

リスクもある抗ガン剤を飲むかどうか

 さらにもうひとつ、私は決断を迫られました。 「これは、ガンのなかでは進行が緩やかで悪性度が低いガンです。『まったく治療をしない』という選択もあります。ケフィちゃんの年齢を考えると、ガンの影響より先に寿命がくるかもわかりません。若い犬であれば積極的な治療を進めますが、どうしますか?」(担当獣医師)
介護ベストを着たケフィ

介護ベストを着たケフィ

「血栓の薬は飲むが、ガンの薬は飲まない」という選択肢もあると言われ、抗ガン剤の副作用も説明されました。①白血球、血小板の減少による発熱、感染症の危険性、②消化器異常、③脱毛が考えられるとのことでした。  でも、「血栓ができる原因は、腫瘍である可能性が高い」(担当獣医師)と言います。いくら血栓を溶かす薬を飲んでも、そもそもの原因を絶たなければ血栓はでき続けます。私は、心を決めました。 「全身麻酔のリスクを冒して分かった結果です。それを活かして、できる限りの治療をしていきたいと思います」 <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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