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合コンで職業を言えないデリヘル店長の苦悩。『フルーツ宅配便』の仕事論が深い

自分の仕事にどこまで自分が納得しているか

「グァバ」というタイトルの今回の話は、グァバという一人のデリヘル嬢を通して、働くことの意味を考えさせられる回でした。  グァバはシングルマザーとして娘を育てるために、もはや当たり前のこととしてたくましくデリヘルとスナックを掛け持ちして働いており、そこに迷う気持ちはありません。一方で咲田やえみは、デリヘルで働くことを自分自身では納得してはいるものの、他人には自分の職業を言えない状況でいます。  また、医者という仕事をしている井上ですが、本人は高い志をもって途上国でボランティアに近い仕事をしていても、井上の両親や井上を結婚相手として品定めする女性の前では「お金にならない」「残念」「苦労しそう」という評価をされるのでした。  もちろん職業に貴賎(きせん)はありません。結局、どんな仕事に従事していても、誰のために働くのか、なんのために働くのかを本人がどこまで納得をして覚悟をしているかで状況は大きく変わってくるということを改めて考えさせられました。

合コン女性にとうとうデリヘル勤務を告げる

 咲田は先日の合コンで知り合った女性の一人に誘われ、食事をすることになります。咲田に「今後のキャリア」を前のめりに聞いてくる女性に対して咲田は「僕、デリヘルで働いているんです。デリヘルって知ってますか?」と、とうとう自身の職業を告白します。  デリヘルの仕事を説明し始める咲田に女性は激怒。無言でその場を立ち去るのでした。「嘘つき!」などの暴言を吐くことなく、蔑(さげす)んだ目で咲田を見る女性がなんともリアルです。  年収や肩書き、今後のキャリアを問い詰めてくる女性にデリヘルの説明を堂々とする咲田。見ていてスッキリするシーンでした。  この一部始終を咲田が小田に話すと、小田は「せっかくデートできたのにもったいない。なんで嘘をついてうまくやらなかったんだ」と言います。たしかに、こんなあからさまな態度をとる女性に対して、わざわざ素直に身の上話をして不快な思いをする必要もありません。それでも咲田は「デリヘルだって、どこかで誰かを救ってるかもしれない。立派な仕事だから隠すことはやめた」と告げるのでした。  本人の覚悟もそうですが、その覚悟を受け止める人によっても評価は異なります。「デリヘルで働いている」という事実を告げても「どんな仕事をしていても友達だろ」と理解してくれる人間がまわりにいるだけで、自分の心の持ちようも大きく変わってくるのではないでしょうか。今回は地雷客・小田の底抜けに明るい演技が作品をコミカルに仕上げてくれて、見ていてとても心地よかったです。そして温かい気持ちになりました。  母親の作った借金を返すためにデリヘル嬢として働くえみですが。勤めているお店がかなり悪どいお店のため、咲田がえみを「フルーツ宅配便」に引き抜こうとするところで話は終わります。次回、えみと咲田の動向に注目が集まります。 <文/瀧戸詠未> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
瀧戸詠未
大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーランスライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。X:@YlujuzJvzsLUwkB
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