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『なつぞら』は歴代朝ドラネタがてんこ盛り。嬉しさと不吉さを感じるファンも

 朝ドラ100作目の記念碑的作品として注目される、広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』。  戦争で両親を亡くした少女・なつが、北海道の酪農家に引き取られて育ち、上京して、草創期の日本アニメ界でアニメーターを目指すというストーリーです。
『連続テレビ小説 なつぞら Part1』 (NHKドラマ・ガイド)

『連続テレビ小説 なつぞら Part1』 (NHKドラマ・ガイド)

過去の朝ドラへのオマージュがいっぱい

 育ての母を演じる松嶋菜々子(『ひまわり』主演)や、『おしん』子役時代の小林綾子、朝ドラ1作目『娘と私』の北林早苗、『ふたりっ子』の岩崎ひろみなどなど、歴代のヒロインが続々と登場。イケメンだらけのキャストや、名作アニメへのオマージュなども豊富です。  なつが通う農業高校で突然歌われた「FFJ=Future Farmers of Japan」(実際の農業高校出身あるある)の歌に『あまちゃん』の南部ダイバーを思い出す人がいたり、演劇部顧問の先生役が『あさが来た』の「白蛇はん」こと柄本佑で、彼が台本を書いた劇のタイトルが『白蛇伝説』だったりと、朝ドラファンをはじめ、サブカル好き、イケメン好きなどへのサービスもこれでもかというほどてんこ盛りにした内容となっています。  でも、その一方で、朝ドラを長年見続けてきたファンに向けてのサービスが、逆効果になってしまっている面も、少々ある気がしています。  なぜなら、朝ドラを作品の出来不出来・好き嫌いにかかわらず、長年ずっと見続けてきた人たちにとっては、朝ドラの思い出が必ずしも良いものだけでなく、なかにはあまり思い出したくないものも少なからずあるからです。

比嘉愛未の登場に、ちょっぴり暗い思い出が…

 例えば、なつが生き別れの兄を探すために上京する展開で訪れたのは、東京・新宿に戦前から続くベーカリー兼カフェ・川村屋でした。そのオーナー、“マダム”こと前島光子(まえじま・こうこ)役の比嘉愛未の登場に、「美人すぎ」などと歓喜する視聴者はたくさんいました。『コードブルー』シリーズなどでの活躍の印象が強い人にとっては、嬉しい登場でしょう。
どんど晴れ スペシャル [DVD]

『どんど晴れ スペシャル』 (DVD、NHKエンタープライズ)

 でも、朝ドラ的には、比嘉愛未といえば、視聴率は高かったものの、なんでもヒロイン様のおかげで解決する「ヒロイン至上主義」の典型的パターン、土下座も大事な武器の『どんど晴れ』ヒロインです。ちょっぴり過去の記憶が蘇り、暗い気持ちになりました。
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カフェに漂う『まれ』感
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