しかも、このお店の内装や照明にもまた、なんだか恐ろしいような不吉な気分が呼び起こされました。なぜか既視感があるなと思ったら、魔女姫人形という不気味なお守りが出てきた、終わらない悪夢をずっと見せられたような朝ドラ『まれ』(主演・土屋太鳳)によく似ているのです。

『まれ』のキーマスコット「魔女姫人形」(ベネリック)画像:Amazonより(売り切れ)
Twitterにも「なんだろうこの既視感…って気付いた。これあれ、まれだ。まれ臭がする。」
「『なつぞら』がどんどん『まれ』くさくなってきて、そこはかとない恐怖を覚えている…」
「北海道から東京に行って、急にまれの雰囲気に近くなってきた」などのつぶやきが見られました。
ちなみに、美術統括は犬飼伸治氏。『ひよっこ』の美術を手掛けた方で、本作でも北海道編の美しい画作りには共通するものを感じるのですが……なぜ不意に『まれ』感に覆われてしまったのか謎です。もしかして『まれ』の父親は失踪しただけに、生き別れの兄探しと重なって呪われた雰囲気が漂うのでしょうか(たぶん違う)。
さらに、5月2日放送分では、ようやく生き別れの兄・咲太郎(岡田将生)がチラリと登場しましたが、浅草芸人で、『わろてんか』を思い出させる展開です。そういえば、「なっちゃん(広瀬すず)、どんどんお姉さんに似てくるなあ」と思いながら観ていたら、『わろてんか』にはお姉さんの広瀬アリスが出ていて、そこは良かったのですが……。
そもそも「子役時代の1~2週間はすごく良かったのに、結局そこがピークだった」というのも、朝ドラあるあるの一つ。現時点では子役時代の2週間が素晴らしすぎただけに、その「朝ドラあるある」の路線に連なる作品になりかねない気もしますが、まだドラマは始まったばかりです。
ともあれ、過去の朝ドラを連想させる様々なサービスは、楽しかった記憶とともに、忘れたい記憶の扉を開けてしまうこともあります。どうせ暗い記憶を呼び起こすのであれば、いっそのこと伝説的な朝ドラ『純と愛』(主演・夏菜)オマージュも観てみたいという気もしますが、今後も過去の朝ドラ作品がどのように絡んでくるのか、そのサービスぶりには大いに注目していきたいです。
<文/田幸和歌子>
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