GAPはもうアウト?原宿・渋谷から撤退、アメリカでも絶不調なワケ
5月7日、GAPが原宿駅前にあった旗艦店を閉店しました。日本経済新聞によれば、「ネット通販に顧客を奪われる一方、人件費などのコスト負担は増しており、収益改善は難しいと判断した」とのことです。
『最速でおしゃれに見せる方法』など著書多数のファッションバイヤー・MBさんに分析してもらいました。
「ファストファッションはアメリカ勢は不調です。GAPもアメリカンイーグルもアバクロも一時期の盛り上がりはあったものの、長続きせず売上は低迷気味。
ZARAとH&Mから分かる通りファストブランド売上上位はヨーロッパ勢が占めています。結局、餅は餅屋、洋服はヨーロッパのものなのかも…」とMBさん。
ZARAはスペイン・ガリシア州のアパレルメーカーであるインディテックス、H&Mはスウェーデンのエイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツが展開しています。
では、ヨーロッパ勢にあってGAPに足りないものはなんでしょうか?
「GAPのネガティブポイントは、値引きしすぎてブランド価値を低下させていることなどもありますが、私は『トレンド』にあると思っています。
ヨーロッパ勢であるZARA、H&Mはパリミラノの最新トレンドはもちろん、極東の島国である日本のトレンドや韓国のトレンドなどもしっかりとチェックしていてボーダレス。ドレスライクなものもカジュアルなものもトラッドライクなものもデザイナーズライクなものも、『とにかく売れているものは素早くパクる』というフットワークの軽さがポイントです。
ところがGAPはアメリカンカジュアルをベースにあまりブレないモノ作り。トレンドがどのように動こうとも提案するのはいつも同じようなチェックシャツにデニムにチノパンですよね」(MBさん)
今年2月、業績不振が続いている米GAPは「今後2年間の約230店舗の閉鎖」と「オールドネイビーを別会社として上場させる」という大規模な事業再建計画を発表しました。
『フォーブス Forbes』によると、グループ全体での売上高は伸びているものの、その原因はオールドネイビーをはじめ、バナナ・リパブリックやアスレタなど傘下の他ブランドが好調だったため。
一時は日本でも大人気だった米大手アパレルブランドですが、たしかに最近あまり話題にならない印象も…。『フォーブス』によると、GAP単体でのグローバルセールスは4年連続で落ち込み、2018年の売上高は前年比5%減。
いったいどういう背景があるのでしょうか?
ファストファッションはヨーロッパ強/アメリカ低迷
GAPは「トレンド感」が足りない
「もはやこうしたアメリカンカジュアルは幾多(いくた)の量販店が超激安価格で大量にリリースしており、差別化も目新しさもないのです。 ZARAに行くと『え!?これがZARAなの!?』と思うような予想以上の驚きがありますが、GAPにいくと予想を上回るものは一つもありません。こうした洋服本来の魅力である『トレンド感』が欠如しているGAPが売上低迷するのは、ある種必然ではないかと私は思っています」(MBさん) 日本のトレンドにニブいGAPですが、ここへ来て本国アメリカなど世界規模で閉店が相次いでいるとか。何があったのでしょう?
グループ全体では売上増、だけど単体では4年連続の下落
前述のとおり、GAP単体でのグローバルセールスは2018年の5%減、昨年すでに約90店の閉店に追い込まれています。 一方、グループの半分近い収益を占めるオールドネイビーの2018年の売上は3%増。親会社とは対象的に昨年75以上の新店舗をオープンさせています。 傘下のプチプラブランド・オールドネイビーを独立させることにより、染み付いてしまったチープなイメージを払拭したいそうですが、二つの店舗比較をした米国版『ビジネス・インサイダー Business Insider』は、「GAPの方が何もかも高いが、両者のクオリティの差は感じられなかった」とバッサリ。 誰だって品質に差がないなら安い方を買いたくなってしまうのが人情。GAPはまず、クオリティ向上や大胆な路線変更でオールドネイビーとの差別化を図らなければならないようです。
1
2