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ガンの愛犬が倒れて夜間救急へ。最後の夏に起きたこと|ペットロス Vol.24

トイレに出ようとしたら、突然息が荒くなるケフィ

 比較的穏やかだった闘病生活が一変したのは2016年11月2日深夜。奇しくもケフィがメニエール病で倒れてからちょうど2年目でした。
館山の庭で笑うケフィ

最後の旅行、館山の庭先で笑うケフィ

 その日、ケフィと私は房総半島にいました。寝る直前にケフィをトイレに連れ出したときのことです。ケフィは「ハァハァ」と機関車のような激しい息づかいをはじめ、その場に倒れ込みました。見るとケフィの舌は真っ白。それを見た私の顔は蒼白になりました。「舌が白くなっていたら危険のサイン」と、常々、動物病院で言われていたからです。  すぐに近くの緊急病院に連絡し、駆け込みました。

緊急病院に駆け込んだはいいものの・・・

 状況を話し、胸水を抜いてくれるようお願いすると、獣医師は困った顔で、こう尋ねてきました。 「こんな高齢の、病気のゴールデンを連れて旅行していたんですか。治療はしますが事故(突然死)が起きた場合の責任は負えません。いつもはどんな針で、どこから、どんなふうに抜いていますか? 飼い主さんは立ち会っていますか? 麻酔は使っていますか?」  いつも動物病院にお任せだった私には答えられない質問ばかり。おろおろしながら、かかりつけの二次診療病院の夜間緊急に電話をしました。担当獣医師は不在でしたが、名前を告げると「あ、ケフィちゃんですね。そこにいる獣医師と電話を代わってもらえますか?」と言い、胸水を抜く方法を伝授し始めました。  再び電話を代わると「今、通常行っているやり方を伝えました。それで事態が変わらなかったら、すぐにこちらの病院に来てください」とのこと。  応急処置のおかげで、ケフィは命を取り留めました。病院全体でケフィの病状や日頃の処置を把握し、担当獣医師がいなくても電話で的確な指示をしてくれた二次診療病院のスタッフには、今も感謝でいっぱいです。

「抗がん剤の量を増やす」という選択

絨毯にくるまれて運ばれるケフィ

夜間病院へ行った翌日、絨毯で運ばれるケフィ

 翌朝、旅行を1日早く切り上げて帰宅の途に就き、その翌日に二次診療病院の緊急予約を取りました。麻酔を使わずにできる限りの検査をしてもらったところ、夜間救急での応急処置から2日しかたっていないのに、胸水はすでに1.2リットルも貯まっていました。原因ははっきりしないものの、軽い脱水状態にもなっていました。  しかし、検査結果から新たな疾患は見つりませんでした。ならば胸水も脱水も、「リンパ腫が原因」と考えるのが妥当です。通常、脱水を起こしていたら皮下点滴をして補います。でも、ケフィの場合は、補った水がすべて胸水になってしまう可能性があるため、安易に皮下点滴をするわけにもいきません。 「補うよりも溜まらない方法を探りましょう」(二次診療病院の担当獣医師)との判断はとても合理的だったので、私はうなずきました。つまり、「原因であるリンパ腫をきちんと抑え込むため、抗ガン剤の量を増やす」ことに同意したのです。  この選択が、大きなチャレンジとなりました。 ===================== <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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