
それから毎日美幸さんは大学が終わると同時に、電車で40分かけて新宿に。紀伊国屋ビルの各フロアを徘徊して回っていたという。
「さすがに1週間続けたら、“こんな所にいるはずもないのに”という気持ちになってしまい、やめました。その後もしばらく恋愛依存症気味な日々が続きましたが、新しい彼氏ができてからはYのこともすっぱり忘れられました。
今でも山崎まさよしの『One more time, One more chance』の“♪いつでも捜しているよ どっかに君の姿を”って聞くと、紀伊国屋を彷徨(さまよ)った日々を思い出しますよ(笑)」
そう言って笑う美幸さんだが、最後に意外な縁について話してくれた。
「紀伊国屋徘徊で一個だけいいことがあったとすれば…。実は、徘徊がヒマすぎて恋愛本を立ち読みしていたんですよね。そこで“恋愛の奥義”に触れた本を見つけて熟読していて。
今の旦那をオトす時に、その本に書いてあったテクを実践してました。だから、Yのおかげで今の生活があるとも言えるかもしれませんね」
―シリーズ「
恋に狂ったワタシ」―
<文/桜トン吉 イラスト/真船佳奈>