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愛犬のつらい抗ガン剤治療。お願い、少しでも食べて|ペットロス Vol.25

「祈る」とは「行動する」こと

 無理に食べ物を流し込む行為に迷いを感じていたとき、一条の光が差し込みました。長年、ガン治療を受けている知人がこんなことを言ったのです。 「私も抗ガン剤を増やすと急激に白血球や血小板が減って下痢が始まり、食欲が落ちる。そのとき無理やりにでも食べるのが大事。がんばって経口摂取を続けると、また食欲が回復する「眠りたい」のではなく「薬の影響」なのであれば、ケフィはまた回復するかもしれません。今までにも、メニエール病(2014年)、心タンポナーデ(2015年)という大病を乗り越えてきた犬です。  私の迷いは吹っ切れました。天に祈る気持ちでとにかく小まめに食べ物を与えました。ミキサーを使って流動食を手作りし、人間用のケーキや味付け肉なども、私が咀嚼してから食べさせました。「犬の体にいいかどうか」なんて言っていられませんでした。  ふと、クリスチャンの友人の言葉を思い出しました。 「『祈る』っていうのは、受動的な行為じゃない。願いを叶えるために『行動する』ことなんだよ」

思いもよらない宣告

 それから1週間後、三度目の奇跡が起きました。ケフィの鼻先にアップルパイを近づけると「ぱくっ」と食いつき、15センチ四方の量を平らげました。続いてヒレステーキも「ぱくっ!」。あれよあれよという間に、200グラムを食べきりました。そして、その翌日、ついに下痢が止まったのです! ちょびっとだけ元気になったケフィ ……とはいえ、今回の長引く下痢や食欲の減退の原因も気になったので、再度、全体的な検査をしてもらうことにしました。前回の検査からちょうど1月が経っていました。「念のため」と軽い気持ちで臨んだ検査。そこで、私は思いもよらなかった宣告を受けることになりました。 ===================== <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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