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能町みね子&サムソン高橋が語る<幻冬舎・見城社長と百田尚樹とトランプ>

 契約結婚を前提に夫婦(仮)として一緒に生活している、コラムニストでありイラストレーターの能町みね子さんと、ゲイライターのサムソン高橋さん。
左から、サムソン高橋さんと能町みね子さん

左から、サムソン高橋さんと能町みね子さん

 社会に対して鋭い観察眼を持つおふたりに、ここ最近世間を騒がせている様々なニュースや出来事についての見解を自由にトークしてもらう、当対談。好評だった前編に続いて、後編をお届けします。 【前編】⇒能町みね子&サムソン高橋が語る<磯野貴理子は意外と策士?/10歳の不登校YouTuberに乗っかる茂木健一郎って…>

幻冬舎・見城社長を嫌いなわけ

 すでに広く知られていますが、作家の津原泰水氏が、幻冬舎から出版された百田尚樹氏の著書『日本国紀』に問題があると指摘したことで、幻冬舎から刊行予定だった文庫が出版中止にされたと5月13日にTwitterで告白。すると幻冬舎の見城徹社長が、幻冬舎からの出版に反対だったことや、実売部数まで暴露ツイートを投稿。  作家の花村萬月氏、高橋源一郎氏はじめ、見城社長への批判の声はどんどん広まり、ネット上で大騒動に。見城社長はTwitter発信を停止すると宣言し、5月23日謝罪コメントを公式サイトに出しました。
見城徹「たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉」幻冬舎

見城徹「たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉」幻冬舎

能町:見城徹は、大嫌いになるできごとが個人的にありました。 サムソン:でも幻冬舎から本出してるよね? 能町:私の担当編集者はいい人なんです。幻冬舎じゃない会社にいてくれたらいいのにって思うくらい。 サムソン:何でそこまで嫌いなのか、理由はここでは言ってはいけないの? 能町:本当は言いたいけど、半端なこと言うと、訴えるとか言って脅してきそうだから言わない。 サムソン:見城徹って元角川書店の編集者で角川春樹(角川書店前社長)の秘蔵っ子みたいな感じなんでしょ。ハルキストなんだよね。 能町:はあ(笑)。
角川春樹「わが闘争」角川春樹事務所

角川春樹「わが闘争」角川春樹事務所

サムソン:だからテイストとしては、角川春樹と一緒なんだよね。ワンマンっていう。 能町:上に媚び、下を威圧する人ですよ。 サムソン:仕事の嗅覚はすごく優れてる人なんだろうなっていうのはわかるんですよ。 能町:売れるものは作るよね。 サムソン:春樹も嗅覚は凄かったらしいじゃないですか。(角川映画で)薬師丸ひろ子を見出したりさ。

角川春樹―見城徹―箕輪厚介

能町:10年以上前のAERA(1999年8月16日号)が話題になってたんだけど、当時見城徹が幻冬舎の仕事ができない社員に対して怒鳴ってゴミ箱を振り上げて、投げつけるのかと思ったら頭に被せた、という記事があって。お前はゴミだってことなのかな。すごいよね。今それをしてるかは知りませんけど。 サムソン:すご~い、イメージ通り! まだパワハラとかが問題にならなかった時代ね。角川春樹の秘蔵っ子が見城徹なら、この見城さんにも秘蔵っ子がいるじゃない。 能町:箕輪厚介ね。 サムソン:3代続く一定した気持ち悪さね。 能町:でも、箕輪厚介はちょっとテイストが違うよね。パワハラとかはあんまりしなさそう。 サムソン:単純に気持ち悪いだけ? 能町:バカなだけというか……熱意のあるバカ、みたいな。 サムソン:(著書の)『死ぬこと以外かすり傷』みたいな。
箕輪厚介「死ぬこと以外かすり傷」マガジンハウス

箕輪厚介「死ぬこと以外かすり傷」マガジンハウス

能町:でも、死ぬこと以外はかすり傷って言ってるけど、実際にかすり傷を負ったら超痛がっちゃうタイプ。 ――能町さんはTwitterで、「死ぬこと以外かすり傷」という言葉の元ネタを探って大元までたどり着かれてましたね。 能町:箕輪厚介、私のことをブロックしてきたから、かすり傷がすごく痛かったんでしょうね。

見城徹と村上龍/村上春樹、そして銀色夏生

サムソン:見城さんが仕事できるなって思ったのは、村上龍を文章を読まずに写真だけ見て口説いたっていう話(※詳しくは見城徹『編集者という病』集英社)。それで龍は感動して……。 能町:それはちょっと龍がチョロすぎじゃない(笑)? でも、芸能プロ的な働き方だよね。 サムソン:村上春樹は、見城徹に対して激怒していて、俺の半径50m以内に近づくなって言ったとかいう伝説があるよね。 能町:本当かどうかしらないけどね(笑)。 サムソン:春樹本人は、見城徹に褒められたことしか記憶にないっていうようなことを後に書いてるんだけど(『村上さんのところ』新潮社)、ドロドロしたことがあったに決まってる! でも見城さんがすごいのは、銀色夏生を見出した人なんだって。 能町:え~そうなの。 サムソン:こいついいな、って思って口説きに行ったら銀色夏生が一言もしゃべらないでずっと黙ったままだったんだって。それで匙を投げて腹を立てて帰ってきたんだけど、これだけ自分とコミュニケーションが取れない異世界の人なんだから、レイアウトも構成も全部この人にやらせて本を出したら面白いんじゃないかって、作らせたらしいのよ。そういう話を聞いて商才はあるんだなって。 能町:まあ、あるんでしょうね。
「銀色夏生---その瞳の奥にある自由 (【責任編集 銀色夏生】文藝別冊)」河出書房新社

「銀色夏生—その瞳の奥にある自由 (【責任編集 銀色夏生】文藝別冊)」河出書房新社

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百田尚樹が今立候補したら当選する
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