ところで、今回のテーマは「幸運を呼ぶ女性」ですが、それがままテーマとして映画になっているって知ってましたか? あるんです、『あげまん』という映画が。

『あげまん』
(画像:amazonより)
監督は伊丹十三という、今で言うなら三谷幸喜のようなヒットメーカーで、見ていて心地よいテンポが特徴です。
この『あげまん』は、情を通じた男になぜかツキをもたらす女、ナヨコが主人公。
彼女は芸者といったやや特殊な職業でしたが、身請けした僧侶が出世、次に付き合ったうだつの上がらない銀行員は出世街道を走りはじめるといった具合です。この作品、一気に見られる面白さなので是非!
さて、最近公開された「幸運を呼ぶ女性」映画といえば、なんと言っても『コレット』(2019年5月17日公開・主演:キーラ・ナイトレイ)。
これは実在するフランスの女性作家ガブリエル・コレットのこと。小さい頃から文章を書くのが好きだった彼女は、
いつしか作家である旦那の代筆をするように。その作品がベストセラーになるのですが、そもそもこの夫婦、ぶっ飛んでいます。
二人ともバイセクシュアルで、互いに男女の浮気相手がいるんです。100年前の実話ですが、今でいうところのLGBTカップルですね。とにもかくにも、著作権を巡って夫婦間の壮絶なバトルが起こってしまうほどのベストセラーを生み出したコレットが、「幸運を呼ぶ女性」であったことは間違いないでしょう。
作品自体もいろんな噂が飛び交う『天才作家の妻 40年目の真実』
文学映画で、妻が旦那のゴーストライターという点が『コレット』と共通しているのが2017年に公開されたグレン・クローズ主演の『天才作家の妻-40年目の真実-』。これは究極の「幸運を呼ぶ女性」です。

『天才作家の妻-40年目の真実-』
(C)META FILM LONDON LIMITED 2017
ノーベル文学賞を受賞した夫の作品を、実は妻が書いていたんです、40年も。
「あの小説は実際に編集者が書いた」「いや、妻が書いたんだ」「いやいや、ゴーストライターがいる!」という噂話もあったりしますし、フィクションとはいえ、実際にあるのではとドキドキしてしまう話です。
ところで、「あげまん」がいれば「さげまん」がいるのも事実。次回は「ツキを下げてしまう女性」の映画など掘り下げてみてもいいかもしれませんね。まあ、明日は明日の風が吹くので分かりませんが。
【前回の記事】⇒
内田裕也&樹木希林のような「激しすぎる夫婦」を描いた名作映画3選
【増田弘道】
年間300本以上の映画を観る映画マスター。日本動画協会人材育成委員会委員長や大学でアニメ映画産業の講師も務める。一般映像作品数22万本超の動画配信サービス
「ビデオマーケット」に所属。
<文/増田弘道>