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ガンの愛犬に新たな腫瘍が。つらい治療か、もうやめるのか…|ペットロス Vol.26

副作用が出にくい子は抗ガン剤もあまり効かない?

 この日も、大きなリスクを冒してまで肝臓の腫瘍を特定すべきか、否かという大きな「決断」を迫られました。私は主治医に尋ねました。 「もし検査をして腫瘍が特定できたら、どんな治療をすることになりますか?」  主治医の回答は明快でした。 「今の薬では効かないので、もっと強い抗ガン剤を使う必要があります。そうすると嘔吐や下痢、食欲不振など強い副作用が出る可能性も上がります。もちろん中にはほとんど副作用が出ない子もいますが……」
ケフィ バギー 散歩

かつての散歩コースをカートで

 つい数週間前までの下痢を繰り返し、ぐったりとして食欲がなく、立ち上がることもできなかったときのケフィが目に浮かびました。二度とあんなケフィは見たくありません。数時間おきに繰り返す下痢や嘔吐の手当だけで、家族も消耗し、疲れ切ってしまいます。私はもうひとつ質問をしてみました。 「副作用が出にくい子の特徴とか犬種などはあるんでしょうか?」  主治医はほんの数秒沈黙してから、口を開きました。 「これはあくまでも『私の経験から』の話として聞いていただきたいのですが、副作用が出にくい子は、抗ガン剤もあまり効かない傾向にあるような印象はあります」

心は決まった

 リスクを冒して検査をし腫瘍を特定できたとしても、その先にまっているのは副作用に苦しむか、薬が効かないという現実。……それを聞いて、私の心は決まりました。 「これ以上のガン治療はしません。だから検査も必要ありません」  それを聞いた主治医はゆっくりとうなずき、こう答えました。 「分かりました。そうなると、これから1~2か月の間に『何か大きなこと』が起きるかもしれません。そのことだけは覚悟しておいたほうがよいと思います」 「それはケフィが天寿をまっとうするということですか?」  尋ねたかった問いを私は飲み込みました。あまりにも恐ろしくて、口にしたらそれが本当になってしまうような気がして、とても確認する勇気がなかったのです。 ===================== <文/木附千晶> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木附千晶
臨床心理士。「CAFIC(ケフィック) 子ども・おとな・家族の総合相談 池袋カウンセリングルーム」主宰。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』、『いつかくるペットの死にどう向き合うか』など。
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