自分の不安定な精神状態と、彼がアスペルガー症候群かもしれないことが無関係ではないと考えたイクミさん。
今の自分に必要なのは、彼がアスペルガー症候群かどうかを明らかにすることよりも、アスペルガー症候群かもしれない彼とのコミュニケーションに苦しむ自分をケアすることだと考えました。

そのためにまずしたことは、
発達障害に詳しい医師がいるクリニックを探すこと。数ヶ月の予約待ちをしなければならないところも少なくありませんでしたが、何件も問い合わせをした結果、週内の予約が可能な、発達障害外来のあるクリニックを見つけることができました。効率的な相談ができるよう、
彼とのコミュニケーションで困っていることや、なかでも特に困った例について、事前にまとめた1枚の資料を用意しておきました。
当日はその資料をもとに、自分が抱えている悩みと心の不調について相談したほか、紹介されたバウムテストという心理検査を希望して受けました。バウムテストの結果はあくまで自分の参考程度にとのことで、結果については簡単な説明を書いた紙を受け取るのみでしたが、結果は
「重度の気分障害」……。医師からは、
「カサンドラ症候群」の状態にある可能性が高いという指摘を受けます。
<カサンドラ症候群について>
(以下、宮尾益知、滝口のぞみ監修『心のお医者さんに聞いてみよう アスペルガータイプの夫と生きていく方法がわかる本 “カサンドラ症候群”の悩みから抜け出す9つのヒント』より抜粋)
ものごとの捉え方や感じ方が異なる夫とのあいだで、気持ちが通じ合えず疲弊していった状態。家族という愛情を基盤とする場で、夫からの思いやりや共感を得られず、周囲にも理解されづらいために孤立し、心身に不調をきたしていく。

カサンドラ症候群の症状(精神編)
・抑うつ
・自己否定
・無力感
・イライラ・不安・恐怖
カサンドラ症候群の症状(身体編)
・頭痛がする
・疲れやすい
・動悸がする
・調理ができない
・集中できない
・突然涙が出る
・食欲がわかない
・胃痛がする
・眠れない
(抜粋以上)
医師はこのようなことを言いました。
アスペルガー症候群をはじめ、発達障害の診断には、問診に加え知能検査や発達検査などの心理検査が必ず行われるということ。診断基準に加え、あらゆる要素を検討した上で、ほかの精神疾患と鑑別する必要もあり、最終的に診断が出るまでには時間が必要だということ。

それから、周囲の人間はともかく、
本人自身に困り感がないのならば、それは障害ではないという考え方もあるのだということ。
「仮にもしもご主人がアスペルガー症候群だったとしたら、ご主人は今後も基本的に変わりません。私はあなたの医師ですので、あなたの心が楽になる解決法を考えます。
一番は、彼から離れることです。どうしても一緒にいたいということであれば、大げさでなく人生を賭ける覚悟が必要かもしれません。ご主人は変わりませんから、あなたが変わるか、あなたが彼に合わせるしかありません」
<文/佐藤 由実>
【参考文献】
宮尾益知、滝口のぞみ監修『心のお医者さんに聞いてみよう アスペルガータイプの夫と生きていく方法がわかる本 “カサンドラ症候群”の悩みから抜け出す9つのヒント』(大和出版)