夫が発達障害かも…と悩む妻。すれ違いすぎる会話に涙が止まらない
【わかりあえない夫と暮らして vol.1】
アスペルガー症候群は、現在では自閉症などとともに自閉症スペクトラム(ASD)と総称される発達障害の一種です。社会性(対人関係)の障害、コミュニケーションの障害、こだわりが強い(想像力の障害)などの特性を持ち、言葉と知的発達に遅れがない状態を指します。(参考 梅永雄二監修『よくわかる大人のアスペルガー』)
この記事では、未診断だけれども発達障害が疑われるパートナーとのコミュニケーションに悩んだ女性の例を紹介します。
金融業界で働くイクミさん(30歳)は、夜間大学院で出会った彼(36歳)と結婚しました。
彼は大手電気機器メーカーで働くサラリーマン。とても真面目で派手なことを好まず、休日はひとりで映画を観たり小説を読んだりするのが好きなインドア派。表情が乏しく、感情表現が薄い人という印象はありましたが、イクミさんを楽しませようと一生懸命デートプランを練ってくれることや、ときどき見せてくれる穏やかな笑顔が、イクミさんは好きでした。にぎやかな場所が苦手なため、静かな過ごし方を好む彼はとても居心地がよく、食べ物や映画の趣味も似ていて、楽しみを共有できることも嬉しく感じていました。
気になるところといえば、デートで1円単位の割り勘をすることと、自分の興味のある話を始めると最後まで話し終えないと止まらないこと。自慢話を堂々と話す姿には驚かされましたが、実際に彼はそれだけの努力をしている人。イクミさんは、彼を素直に尊敬していました。
しかし結婚してからというもの、彼は日に日にふさぎ込むようになっていきました。聞くと、毎日帰る場所、使う電車、一緒に住む人間、自分の立場などが変わったことで、新しい環境に戸惑い、苦しんでいるというのです。
次第にイクミさんは、彼とは、彼から話しかけられたときにだけ話すという姿勢を身につけていきました。そして、どんな些細(ささい)な内容であっても質問することは避けました。イクミさんにとっては気軽な雑談のつもりの質問でも、彼にとっては「今すぐに答えを考えなければならない」と感じて疲れてしまうということがわかったからです。
真面目で気の合う彼と結婚、幸せいっぱいのはずが
