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夫は発達障害?傷つけあうより離婚すべきか…妻の決断は

同じ悩みを抱えた人たちとの出会い

「カサンドラ症候群」というものを知ったとき、少しだけ救われたとイクミさんは言います。名前があるということは、自分と同じような悩みを抱えている人たちがほかにもいるのだということ――。カサンドラ症候群の人たちの声を聞きたくて、彼といた頃のイクミさんは、関連するブログ記事やSNSの投稿を手当り次第に読みました。 【わかりあえない夫と暮らして vol.3】⇒夫はアスペルガーかも…泣き暮らす妻が陥った「カサンドラ症候群」とは SNSやブログ経験したようなシチュエーションだったり、聞き覚えのある台詞だったり、まるで私が書き込んだんじゃないかと思ってしまうほど、自分の状況に近い書き込みを次々に見つけたんです。  理解に苦しんできた彼の発言や行動が、カサンドラのあいだではもはや『あるある』だったことに、すごく驚きました。それまで、自分の悩みがすごく特殊だと思っていたし、引かれるのが怖くて、友人たちには相談できなくなっていました。だから、カサンドラ同士、悩みを共有できる場を見つけたことは本当に嬉しかったです」  周囲の人たちに話せば、疑問を持たれたり、引かれたりしてしまいかねないことも、そこでは皆平然とうなずき合える。カサンドラ症候群の人たちに出会い、共感しあえたことで、なんとか心を持ち直すことができたと話すイクミさん。下がりきった自己肯定感を取り戻し、楽しいことを心の底から楽しめるようになった今、カサンドラ症候群脱却のきっかけは「心理的・物理的に彼と離れたこと」だと振り返ります。

「かもしれない」と考え始めたことで救われた

「彼がアスペルガー症候群かどうかは、彼が適切な診断を受けないとわかりません。彼が日常生活に困らなければ、診断を受ける必要もありません。彼がアスペルガー症候群じゃないとなれば、そもそも私もカサンドラ症候群ではないことになります。確固たる前提がないのに『私はカサンドラ』とするのにも、正直なところ違和感はありますが、『アスペルガー症候群かもしれない』『カサンドラ症候群かもしれない』という仮説を見つけられたことではじめて、具体的な策を講じることも、似た悩みを抱える人たちと出会うこともできました」  決して決めつけはせず、あくまで「かもしれない」という可能性を検討すること――。そこから苦しみの正体に検討がつけば、抜け出すための方法を考えることもできる。そう考えるイクミさんは今、彼の幸せを心から願いながら、自分の人生を前向きに歩み直しています。 <文/佐藤 由実>
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