まつ毛美容液の副作用が問題に。危険なのか眼科医に聞いてみた
まつ毛美容液といえば、まつ毛を長く・太くしたい女性にとっては必須アイテムの1つですよね。筆者も数年間、とあるまつ毛美容液を愛用していました。
まつ毛美容液による危害が急増!-効能等表示の調査もあわせて実施-」という調査結果を発表。PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)に、まつ毛美容液を使用して目の周りが腫れたなどの相談が、2015年度以降381件寄せられていたというのです。2018年度は相談が急増し、眼科医で角膜潰瘍の診断を受けたという事例もあったとのこと。
これには、他人事ではないと不安を覚えた女性も多かったのではないでしょうか。筆者自身もこの調査結果を知ってから、まつ毛美容液を使用することが不安になり、今では使用をやめています。安心して使用できるまつ毛美容液を選ぶためにはどうすればいいのか、冨田実アイクリニック銀座の、医学博士・日本眼科学会認定眼科専門医、冨田実院長にお話を聞きました。
――まつ毛美容液を愛用しているという女性の中で、調査結果の報道後、不安から使用を一切しなくなった人も多いと思います。まつ毛美容液によって実際に副作用が発生した場合、どういった症状が考えられるでしょうか。
冨田実院長(以下、冨田):まつ毛美容液の主な副作用としては、まつ毛が抜ける・結膜炎・角膜炎・アレルギー症状などが見受けられます。
化粧品に分類されるまつ毛美容液は、個人でも購入できるため、含まれている成分や副作用の確認については、購入した個人の責任が大きくなってしまいます。使用上の注意事項や副作用の有無、配合されている成分などをすべて理解して使用している人は少ないでしょう。使用中にどのような副作用が現れて、何が原因になっているのかを特定しづらいところが怖い所です。
また、効果がはっきりしない商品も多く、とくに海外からの輸入品には、化粧品として販売できない成分が含まれていたり、同じ成分でも質の落ちるものが使用されていたりするものもあります。使用する人は、化粧品という認識で、おしゃれの一環として気軽に購入されていると思いますので、そこが最も危険性を感じる部分になります。
――市販のまつ毛美容液は、気軽に購入できるだけに危険性も高いのですね。具体的に、まつ毛美容液に含まれる、どの成分から副作用は引き起こされるものなのでしょうか。
冨田:医薬品に分類される睫毛貧毛症(※まつげひんもうしょう)の治療薬には、ビマトプロストという成分が含まれています。この成分を含む製品は、医薬品扱いになりますので、国内では化粧品として販売することはできません。ここが、化粧品と医薬品の大きく異なる部分です。
ビマトプロストが配合されている睫毛貧毛症の治療薬は、もともと緑内障の治療薬をヒントに開発されたものです。緑内障の点眼薬は、眼圧を下げる効果がありますが、開発の途中で睫毛が成長する副作用が確認され、これを応用して睫毛貧毛症の治療薬として改良されました。医薬品に含まれるビマトプロストは、メラニン色素を増加させて、虹彩(黒目)の色が濃くなることがあります。また、薬を塗った周辺部の皮膚に色素沈着が見られることもあり、目の充血や痒みなどの症状が現れることもありますので、医師の指導の下で使用する必要があります。
一方で、市販されているまつ毛美容液は、植物エキスや海藻エキス、潤い成分、タンパク質成分などが配合されています。医薬品と比較すると効果は弱くなりますが、価格的にも安価で、通販などでも手に入れられますので、気軽に使用できる利点があります。
しかし、海外から個人で購入した場合は、ビマトプロストが含まれているまつ毛美容液もあり、医薬品と同様の副作用が現れることが考えられます。また、化粧品には防腐剤やエキスなどが含まれているため、防腐剤による目の充血、炎症、痛みといった副作用が生じることがあります。主な防腐剤としては、エタノールやパラベンなどですね。人によっては、含まれているエキスでアレルギー症状が出る場合もあります。
※睫毛貧毛症(まつげひんもうしょう):異物の侵入から目を守ってくれるまつ毛が、不足していたり、不十分な状態のこと。まつ毛ケアによるダメージや、加齢や皮膚疾患、抗がん剤などの副作用などによって、発症することがある
しかし、2019年8月8日、国民生活センターが「まつ毛美容液による副作用とは
副作用を引き起こすまつ毛美容液の成分は?
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