――安全に使用することができて、なおかつ効果のあるまつ毛美容液を選ぶことはなかなか難しそうですね。選ぶコツを教えてください。
冨田:安全に使用することに着目するのであれば、医師によって処方される医薬品を選ぶことです。含まれている内容も成分表に記載がありますし、効果や副作用についても記載されています。また、万一のトラブルにも対応できますので、安心感も違うと思います。
また、
パッチテストをしてから使用するという方法もあります。パッチテストとは、使用する化粧品や薬剤でアレルギー反応や炎症、かぶれなどの症状が出ないかを、あらかじめチェックする方法です。使用したいと思っているまつ毛美容液を綿棒に取り、腕の内側に10円玉程度の大きさに塗布します。一定の時間が経過して、赤みなどの症状が現れたら、そのまつ毛美容液は、お肌に合わないということです。
どの美容液にも似たような成分が入っているので、自分に合ったものを見つけるのは難しいと思いますが、簡単にできるチェック法です。ただし、お肌の状態にも個人差があるので、誰にでも100%安全と言いきれるわけではありません。
市販のまつ毛美容液を購入する際は、配合されている成分を確認できる物を使用し、海外製品など内容が不明なものは避けた方がよいでしょう。
市販のまつ毛美容液を使用せず、病院を受診した方がいい基準は
――パッチテストでしたら誰にでも試すことができますもんね。市販のまつ毛美容液を使用せず、病院を受診したほうがいい基準などはあるでしょうか。
冨田:基本的には、医師によって処方される医薬品のほうが安心度は高いです。
とくに、アトピー性の疾患をお持ちの方、肌が弱い方、薬剤に対してアレルギー症状をお持ちの方などは、市販のまつ毛美容液はトラブルが起こりやすいと思います。普段市販のまつ毛美容液を使用している方も、皮膚に異常を感じたら、使用を中止して医師に相談されることをおすすめします。
目の周りは、皮膚が薄いので、お肌の中でも非常に敏感で弱い部分になります。そのため、本来はお肌にいいはずの化粧品であっても、赤みが生じたり、炎症を起こしたりすることがあります。
化粧品に分類されるまつ毛美容液でも、効果が強いものや、刺激が強いものを使用すると、お肌にトラブルが起こる可能性は否定できません。お肌の弱い方向けに、敏感肌用化粧品などがありますが、それでも赤みやかゆみが生じることもあります。お化粧品を使いはじめるのも低年齢化してきていますが、
マツエクや着けまつ毛などは、まつ毛にダメージを与え、睫毛貧毛症の原因にもなりますので、根本的な知識を持つことが大切だと思います。
――貴重なお話を誠にありがとうございました。
意外なことに、まつ毛美容液を使用する際に、必ずしも医療機関の受診が必要とは限らないようです。だからこそ、市販のまつ毛美容液を使用するのであれば、自分に合うまつ毛美容液を選択し、違和感が生じた場合は、すぐに使用をやめる判断をできることが必要ですね。
田実アイクリニック銀座院長、冨田実医師
<冨田実院長プロフィール>
1972年に大阪府生まれ。医学博士・日本眼科学会認定眼科専門医、冨田実アイクリニック銀座院長。1998年に愛知医科大学を卒業後、関西医科大学附属滝井病院で眼科研修医となる。1999年に関西医科大学大学院に入学し、2003年に修了した後、米国ハーバード大学眼科にフェローとして留学する。2005年にはハーバード大学スケペンス眼研究所で最優秀論文を受賞。2005年に帰国し、国内外の学会での活躍、2014年に東京都中央区に冨田実アイクリニック銀座を開設する。
<文/女子SPA!編集部>
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