「当日は再会の緊張と、リンに会って欲しいという気持ちで、わりとドキドキしていました。
耕一郎がウチに上がり、リンが寝ている近くに来ると、最近はもうほとんど動かなかったのに、『ワン』って声を出して反応したんです」
ほとんど寝てすごしていたリンはその日、カラダを起こし耕一郎さんにすりよったり、声を少しだけ出して喜んだそうです。その姿を見た由紀恵さんは、もう泣きっぱなし。耕一郎さんも最後のお別れを惜しむように、時間をかけてリンを愛でたのです。
そこから数週間後、リンは天に召されました。
「寝るようにすうっと亡くなったので、病気で苦しむよりも良かったねと家族とも話していました。あっという間に骨になったリンですが、最後に1つ私にプレゼントを残してくれました」
最後のプレゼント、それは紛れもなく、耕一郎さんとの切れたご縁。2人は以降、元サヤに戻ることはないものの、定期的に連絡を取ったり、時たまご飯を食べる友人関係になったそうです。
死の間際に犬がつなぎ直してくれた縁を、今も由紀恵さんは大切にしているといいます。
―ペットにまつわる悲喜こもごも―
<文・しおえり真生>