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「台湾版『ちびまる子ちゃん』を作りたかった」気鋭の女性アニメ監督に聞く

アジア人に対する人種差別はいまだにある

――なるほど。主人公のチーと彼女の夫のやりとりの間で、アメリカのアジア人女性が人種ステレオタイプに苦しんでいるような印象も受けました。監督はアメリカで映画製作を学ばれましたが、人種差別や人種ステレオタイプに直面したことがありますか?
『幸福路のチー』より

『幸福路のチー』より

シンイン監督「シカゴ・コロンビア・カレッジに留学したのですが、アメリカの内陸に位置するせいからか、シカゴの郊外などにはまだ人種差別が残っていると思います。一度、バーにいるときに白人男性に『中国へ帰れ、アジアン・ビッチ!』と叫ばれてビール瓶を投げられたこともありますよ。アメリカの経済状態が悪くなるとアジア系を差別をするのは白人の男性ですし、アジア人はみな中国人だと決めつける人も未だにアメリカにはいます。  シカゴの大学院ではアメリカ人の他にも、香港人、ナイジェリア人、ドイツ人や日本人など様々な国籍の生徒たちがいて、英語が下手だった私に『シンインが何を言っているかよく分からないけれど、あなたはとってもおもしろいから大好きよ!』と言ってくれたんですね。人は言葉を越えてお互いを知り合うことができると思う。  人種差別の奥底にあるのは人種に対する嫌悪感ではなく、実は『弱い者イジメ』なのかもしれません。そういったことを知ることができたのも、留学を経験してよかったこと。日本とアメリカ……2つの異文化を知っているからこそ、台湾を改めて知り客観的に描いたこの作品を作ることができた思っています」 © Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED. <文/此花わか> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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11月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次ロードショー 
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