この頬を伝う涙は誰のためのものなんだろう。なぜだか怒りが収まらない。悔しくって仕方がない。だって、あの家族は誰も悪くないのに。みんなただ一生懸命なだけなのに。私はこの不条理をどう受け止めればいいんだろう。
この作品は容赦がない。救いも許しもない。それでも歯を食いしばって見てほしい。だって、これは他人事ではないから。日本でも、病死した51歳の配達ドライバーの遺族が、委託元の配送会社を提訴している。亡くなる前の時間外労働は月平均151時間に及んでいたそうだ。これは、私たちの住むこの国でも起こっていることなのだ。
原題の『Sorry we missed you(残念ですがご不在でした)』は、イギリスの不在通知表に書かれているメッセージだという。昨日受け取ったばかりの不在通知の背景に思いを馳せ、私の胸の内はただただ苦い思いでいっぱいだ。
『家族を想うとき』’19年/イギリス・フランス/1時間40分 監督/ケン・ローチ 配給/ロングライド
photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019 (C)Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2019
<文/宇垣美里>
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