役員に逆らったら丸刈りにされ…職場イジメの壮絶
2019年10月に神戸の小学校で発覚した教員同士のいじめは、その手口の残虐性に注目が集まった。また、韓国では元KARAク・ハラの自殺の原因がネットいじめとも噂され、“大人のイジメ”は今、改めて大きな社会問題となっている。その背景と実態に潜む人間の闇に迫った。
【前回記事】⇒職場いじめは女性同士でも。「弁当にトイレの汚水を入れられた」
「独裁経営者が気に入らない社員を一人ずつ追い詰めていく様子は、地獄絵図そのものでしたね」
そう語るのは中小の印刷メーカーで働いていた坂本克也さん(仮名・37歳)。いじめに耐えかね年内で退職することに決めたというが、どのような惨状だったのだろうか。
「社長の家庭を崩壊させて、略奪結婚した40代女性が実質的な現場トップになった時期からいじめが始まりました。執行役員になった彼女の機嫌を少しでも損ねると、退職に追い込むまでパワハラ、モラハラが続くんです」
やがて坂本さんもその標的に。
「理不尽な指示に反論したら、得意先に『あいつはミスばかりで使えない』と嘘の情報を流されたり、社員のグループLINEでも『能力のない人間に意見する権利はない』などの罵詈雑言は当たり前。彼女がトップなので、ほかに相談する相手もいないのが最悪でした」
標的はローテーションで代わるため、彼女の機嫌を損ねないようにみんな言いなり。結果的にいじめに加担していたと言える。ターゲットになると“公開処刑”と呼ばれる凄惨ないじめが待っていた。
「罵倒された後、公衆の面前で頭を丸刈りにさせられた男性管理職もいました。彼は今年の夏に退職しましたが、いじめが原因でうつ病になり、現在も療養中だそうです」
後釜に据えられた管理職が9月に退職したのをきっかけに、退職者が続出。その間もいじめを受け続け、明日は我が身という恐怖に耐えかねて坂本さんもついに退職を決意した。
「そもそも上司に逆らったら丸刈りにされるって意味がわからないですよ。労働基準局に相談はしましたが訴えようとは思いません。復讐されるのがオチですから静かに去るだけ。もうあの人の顔を見なくていいと思うと晴れやかです」
・’18年10月/ワンマンな女性役員がいじめを開始
常に生け贄が一人いる上に、彼女が気に入らなければ標的は移動。全社員が怯える日々を過ごす
・’19年1月/坂本さんもターゲットに
理不尽な指示に反論したことをきっかけに、坂本さんも目をつけられ、暴言やデマが加速
・’19年5月/公開処刑がエスカレート
女性役員の機嫌を損ねた管理職が丸刈りにされる。同時に坂本さんへのいじめも激しくなる
・’19年12月/有休消化後、退職へ
恐怖に押しつぶされて退職を決める
<取材・文/週刊SPA!編集部>
― 大人のイジメ地獄 ―