Lifestyle

熱心な宗教信者の両親に“しつけられ”、出産が恐ろしくなりました…

自らのことを「女性」として認識しない相手となら…

 また、女性性だけでなく、男性性に対しても楓さんは嫌悪感を持ちます。「自分の中の男性のイメージは父親の姿によって決まりました。聖書に基づいて暴力はダメと言いながらもチャンバラを好んだり、母親を頭ごなしに叱りつけたり……。謝れない男性の典型みたいな父親を見ていたので、男性性も嫌悪の対象です。」 暴力的な男性 男性性と女性性のどちらにも良い印象を持つことができなかった楓さんにとって結婚は「大嫌いな型に自らはまる行為」のよう。  楓さんは女性性、男性性への嫌悪から自己の性別を定めたくないとも思い、自らのことを「女性」として認識しない相手となら恋人関係になれると考えています。

両親には早く死んでほしい

 高校生になると楓さんは部活に入り、家で過ごす時間をできるだけ短くするようになりました。学校の近くにあった祖父母の家や書道の先生の家に避難させてもらったことも多かったと言います。  そして、20歳になった時、両親から「あなたは弟妹への悪影響だから独立しなさい」と身勝手な言葉を言われ、一人暮らしを始めました。「当時は何もできない時期が2ヶ月くらいあり、うつのような状態にもなりましたが、やっと今の自分の原型を作ることができました。」  そんな楓さんに現在、両親との仲はどうなのかと尋ねると、複雑な感情が浮き彫りに。「向こうは上手く関われていると思っているようですが、自分は近寄りたくない。自分を善人だと思っている人間ほど始末の悪いものはないです。でも、なにかあると利用しようとしてしまう自分もいるので、できるなら早く死んでほしい。遺産は欲しいし、そうしたら心から悲しむことができるかもしれないから。」  宗教は本来、人が救いや安らぎを求めるために信じるもの。それによって苦しめられたり生きづらさを抱えてしまうのは、何か違う気がします。こんな経験を背負ってきたにも関わらず楓さんは終始明るく「この先はオタク的な意味で、生涯現役を貫きたいです!」と話してくれました。  抱えている苦しみが完全に取り払われることはもしかしたら難しいかもしれませんが、男女の枠にとらわれず、「自分」という性をたくさん愛せるようになったらいいなと、楓さんに明るい日々が続くことを願いたくなります。 <文/古川諭香 イラスト/ただりえこ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ