Entertainment

女性の“恋愛ドラマ離れ”って本当?「恋つづ」佐藤健に熱狂するワケ

 医療ドラマが6本もある2020年1-3月期。昨今は、医療ドラマ、刑事・探偵ドラマ、企業・お仕事ドラマなどに勢いがあり、「恋愛ドラマ離れ」はテレビ業界の定説のようになっています。恋愛ドラマの主な客層だった若い女性は、恋愛に興味がなくなってしまったのか? 若者の人口減やテレビ離れのせいなのでしょうか?
恋はつづくよどこまでも

(C)TBS

 ところが、ドラマに詳しいライター・田幸和歌子さんは、「実は、若い女性は恋愛ドラマ離れしていないのではないか」と言います。ひとつの例は、今期の『恋はつづくよどこまでも』((以下『恋つづ』、TBS系・火曜夜10時)が熱く支持されていることだと言います(以下、田幸さんの寄稿)

SNSでの盛り上がりがすごい『恋つづ』

 『恋はつづくよどこまでも』(以下『恋つづ』、TBS系・火曜夜10時)の反響を見て改めて思ったのは、実は若い女性が恋愛ドラマ離れをしていない、ということでした。世帯視聴率は平均10%を超え、『トップナイフ』『テセウスの船』に次いで3位。さらに、FT層(女性13~19歳)では右肩上がりでトップを走っています。 『恋つづ』は病院を舞台にしているものの、ドSの医師(佐藤健)と、彼に一目ぼれして看護師になったヒロイン(上白石萌音)とのラブコメディ。佐藤健のツンデレぶりに、女性視聴者が熱狂しているのです。
©円城寺マキ・小学館/TBSスパークル・TBS

©円城寺マキ・小学館/TBSスパークル・TBS

 人口比率の低い若年層は、テレビの視聴率の上で切り捨てられてきた流れがあり、学園ドラマが減り、恋愛ドラマも減り、人口のボリュームゾーンの中高年が喜ぶ医療モノ・刑事モノだらけになってきていました。  しかし、そんな中、日テレ日曜ドラマ枠で『3年A組』『あな番』(『あなたの番です』)など、視聴率にとらわれず若者をターゲットにした意欲作が作られる動きが一部にあり、評価を得てきています。  近年は視聴率ばかりでなく、SNSでの盛り上がりによる「視聴熱」と呼ばれる指標ができていることも、若年層へのアプローチにつながっているのでしょう。  そんな流れの中で、意外なほど数字を伸ばしている『恋つづ』ですが、やはり毎回SNSでの盛り上がりがすごいのです。  しかも、感想は一様に「佐藤健かっこよすぎ」「顔がよすぎる」「キュンキュンする」というものばかり。

ここまでベタでよかったんだ!

 正直、明るくドジなヒロインがイケメンにモテてしまう展開は、あまりにベタで昭和的で、脱力するほどですし、にもかかわらず唐突に「死」を描いたりする 食い合わせの悪さは気になります。  でも、みんなドSの佐藤健にキュンキュンしたいんですね。もちろんこれは佐藤健だから為せる技でもあります。
円城寺マキ

原作は円城寺マキの同名コミック

 恋愛ドラマが流行らなくなったことについて、「携帯を持ってからすれ違いがなくなり、ドラマが生まれなくなった」とか、「若者が恋愛をしなくなった」とか、ドラマ評論家たちがこれまで真面目に分析してきたのがバカバカしくなるくらい、「ここまでベタでよかったんだ!」というのは、目からウロコの発見です。  出会ったばかりの女の子の首にマフラーを巻いてくれたり、「治療のキス」をしたりする異常な距離感の一方で、冷たくしたり、暴言を放ったりしますが、あの顔・あの声で言われたら、どれもこれも「ご褒美」でしかないのでしょう。
次のページ 
壁ドン映画のノリを、テレビに逆輸入
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ