『恋つづ』のノリは、壁ドン映画や男性アイドルコンサートに似ている
壁ドン映画などが女子高生を中心とした若い女子の間でだけ流行り、類似作品が続々と作られてきたのは、女子高生などにとって映画は手軽な娯楽だから(高校生は料金も安いですし)、作品の質にかかわらずイケメン俳優を起用しておけば、そこそこの集客が見込めるからでしょう。

壁ドン映画のはしり『L・DK』(2014)の第二作『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(2019年)DVD
『恋つづ』では、そうした壁ドン映画のノリをテレビドラマに逆輸入した結果、従来のターゲットの若年層は映画と同じ感覚で盛り上がり、お金を払ってわざわざ見に行くのは恥ずかしい主婦層も、テレビドラマならという感覚で、娘と一緒に観ることから、二世代視聴が増え、世帯視聴率上昇につながっているのではないでしょうか。
実はこのドラマのノリも、視聴者の盛り上がり方も、アイドルコンサートによく似ています。
ちょっと甘いセリフを言ったり、急に優しい顔を見せたりすると「きゃーー! かっこいいーー」、ドSなセリフを吐いてもまた「きゃー! かっこいい!」。
実はアイドルもまた、ファンに結構毒づいたり、「全然声、聞こえねーよ!」「座っていいって誰がいったんですか」などと怒鳴り、あおり、という演出をよくします。母子二世代でときめいているのも『恋つづ』と似ています。
そうしたアイドルコンサートのような楽しみ方が毎週タダでできるコンテンツと思うと、非常にお得なのかもしれません。
<文/田幸和歌子>
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