――休校賛成の人は、「学校で子どもが感染してもいいのか?」「非常事態だから仕方ない」と言い、それも一理あります。休校は感染防止の効果があると思いますか?
「もちろん、その意見も理解しています。子供を守るためというのも、わかっています。ただ、親に対しての制限がされないのであれば、効果はどうでしょうか…。
親は仕事で外出しますから、そこで感染して帰宅するかもしれません。
子供たちも、1歩も外に出ないわけじゃありません。1ケ月、友達と遊ぶな、というのは不可能です。
そして、学童とデイサービスは開いていて、息子はそこに行くわけです。
結局、学校に行くのと何ら変わらないのではと感じています」

吉田さんの一家
――政府の「一斉休校要請」には、さすがに世間も賛否両論です。「
Yahoo!ニュース みんなの意見」では、休校要請について
「妥当」54.5%、「妥当ではない」43.1%、「その他/わからない」2.4%と、賛否が大きく割れています(3/2正午時点、投票数約184,000。投票は3/9まで)。
「いくら何でも急すぎたからこその、戸惑いだと思います。政府がその方針を発表したのが27日・木曜日の夕方で、金曜日しか猶予がないんですから。
もし仕事のドタキャンなどで信用をなくしたら、もう
『社会的な死』を迎えますよ。そしたら、
新型コロナどころか、今後、生きていけるかどうかもわからなくなります。
もちろん、感染が広がらないように考えるのが一番です。でも、ここまで子育て中の親、さらにママのことを全く考えていないことに、怒りを通り越して、悲しくなりました……」
実は取材後、長男の特別支援学校から、「
学校は休みにするけれど、共働きやひとり親家庭の子は預かる」という連絡が来たそう。「さすがすぎる!ありがたい!」と、吉田さん。
現在、シングルマザー(母子世帯)の半数以上は、非正規雇用や自営業。母の仕事による年収は平均243万円で、58%が200万円未満です(平成28年度全国ひとり親世帯等調査、厚生労働省)。児童扶養手当などを足しても、カツカツの家庭は多いのです。
仕事を休まざるをえないパートや派遣やフリーランスのママがいても、せめて職場は温かく待遇してほしいものです。
【吉田可奈さん】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』、近著『
うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』 Twitter(
@knysd1980)
【吉田加奈さんの連載】⇒
発達障害の息子との日々「ぽんちゃんはおしゃべりができない」
<文/女子SPA!編集部>
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