――「セフレ」と「お付き合い」の違いって何なんですかねぇ。
「お互いに相手を独り占めしたいと思ったときに、じゃあ付き合いましょうかってなる。漫画にも書いたんですけど、恋人は『ほかの人とはしないようにしましょう』っていう契約だと思うんです。『ほかの人との恋愛関係を我慢してでも、あなたと付き合いたいです』っていう感情がお互いにないと、恋人関係は成立しないですよね。暗黙の了解とはいえ、相手がその契約を破ったら、みんな怒って不快に思うんじゃないでしょうか」

――暗黙っていうところが難しいですよね。
「『浮気はダメ』というルールはみんな知ってますが、それ以外は人によってルールが違うので難しいですね。たとえば、男の人は『忙しいときでも会うんだから、俺たちは付き合っているだろ』って思うけど、女の子は『付き合っていたら週1回は会いたいし、プレゼントをもらわないと不安になるし』みたいな感じで。言葉にしないで暗黙の了解で進んでいくから恋人関係がこじれることもありますね」
――『来世ではちゃんとします』に共感する読者は多いと思いますが、どうしてそんなに共感を呼ぶネタを作れるのでしょう?
「私って、『あの人は今、私のことをどう考えているのか』とか、『今この人が目を伏せたのは、ちょっと不快にさせてしまったんだな』とか、すごく考えてしまうんですよ。それで落ち込んだりもして、“ひとり脳内反省会”をたぶん人の5倍、10倍くらいしてる。だから、経験数自体はそんなに多いわけではないんですけど、人間のことばかり四六時中考えていたので、その蓄積があるのかなと思います」

(C)いつまちゃん/集英社
――描いていて楽だとか、楽しいキャラはありますか?
「スタジオデルタに勤める5人に関しては、もう勝手にしゃべってくれるので、楽ですね。風俗嬢に恋している檜山はすごく楽に描けるのでありがたいくらいです。ただ、ボーイズラブ好きの梅ちゃんに関しては、コミケに行くとか、イケメンキャラの同人誌を作っているとか、文化が絡んでくるので、ちょっと作画が難しいですね」
――『来世ではちゃんとします』は今も連載中ですが、どのくらい続けますか?
「すごく書きやすいし、ネタも全然尽きないので、ずっと続けられたらと思います。私と彼らは同世代だから、私と一緒に歳をとらせて、いつか誰かが妊娠・出産してもいいし、家庭をもってもいい。老後に突入したら『みんなで老人ホーム入るか』みたいになってもいいかなって思っています。『グランドジャンプ』さんがずっと載せてくれるのであれば(笑)」
【前回インタビュー】⇒
ドラマ「来世ちゃん」の原作者いつまちゃんに聞く、性をこじらせた男女の攻防
<文/和久井香菜子 文字起こし/
ブラインドライターズ 撮影/坂本陽>