しかし、だからこそ、「I LOVE…」には見過ごせない不備があることを指摘しなければなりません。それは、歌詞の主体が揺らいでいること。しかも、楽曲のテーマに関わる部分なので、下手をするとぶち壊してしまいかねない。そんなミスを犯しているのですね。
どういうことかというと、まず歌詞の中に登場するキャラクターを見てみましょう。彼(彼女)は、<I Love なんて 言いかけてはやめて I Love I Love 何度も>という状況にある。つまり、正面切って“愛”という言葉を言えない、もどかしい思いを抱えているわけですね。
ところが、突如サビで現れた作詞者らしき人物が、<高まる愛>と、あっさり説明してしまうのはどうしたことでしょう?
タイトルの「I LOVE…」に対して、うまく愛を表現できないという反語的なテーマだったはずなのに、いとも簡単に使われてしまった「愛」という単語によって台無しになっているのです。
なぜこんなことが起きてしまったかといえば、キャラクター主体で進めていたストーリーの中に、作者が介入してしまったからなのですね。早い話、状況を整理、説明したいという事務的な欲求が働いてしまったわけです。聴き手への配慮が裏目に出てしてしまったと言えばいいでしょうか。
それが、“歌詞の主体が揺らいでいる”イコール、楽曲の構造に不具合が生じている、という意味なのです。