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朝ドラ『エール』窪田正孝×山崎育三郎×中村蒼・3人組の今後に妄想が止まらない

音楽の道を歩む主人公と友達3人組の今後に妄想が止まらない

 この“夫婦のバディもの”は「エール」最大の売りと思うが、じつはもうひとつ売りが用意されている。夫婦を「2」としたら、こちらは「3」である。裕一と、彼の友達でのちに共に音楽の道を歩むことになる村野鉄男(中村蒼)と佐藤久志(山崎育三郎)の3人組(三羽烏)がいいのである。
連続テレビ小説「エール」朝ドラNHK 左が久志(山口太幹)右が裕一(石田星空)

左が久志(山口太幹)右が裕一(石田星空)

 前述のように、すでに子供時代の鉄男(込江大牙)と久志(山口太幹)に注目が集まっているところ。貧しいが詩を愛す鉄男のナイーブさと、いわゆる「ちびまる子ちゃん」の花輪くんのような、お金持ちのぼんぼんで、神出鬼没の謎の久志。ふたりともキャラが立っている。もちろん、主人公の裕一も、くりくりした瞳がピュアでかわいいかわいいと大評判。
連続テレビ小説「エール」朝ドラNHK 裕一(石田星空)と鉄男(込江大牙)

裕一(石田星空)と鉄男(込江大牙)

 裕一と鉄男にブロマンス性を見る視聴者もいるし、久志は花輪くんのようでもあり、エヴァンゲリヲンのカヲルくんのようにも私には見えた。この3人が成長して、裕一の作曲、鉄男の作詞、久志の歌と3人で音楽の道を歩んでいくと思うと、ときにぶつかりあい、ときに励まし合い、ときに嫉妬したりもして……と妄想が止まらない。
 窪田正孝はちょっと影があってそこに深い叙情性を感じさせる。中村蒼も似たところがあるが、より昭和男子感がある。山崎育三郎はミュージカル界で人気の華やかさがある。3人とも清潔感があって好感度が高いと思う。そこに彼らの恩師のメガネキャラ・藤堂先生(森山直太朗)も加わったらもう、音の出る幕がなくなりそうな気もしないでない。

ど真ん中に文系男子3人組が来る新パターン確立か?

 男3人は、過去、「べっぴんさん」(16年)で、主人公(芳根京子)の夫(永山絢斗)と、主人公の親友たちの夫(田中要次と平岡祐太)が夫たちだけの飲み会「男会(たのしか)」を結成し、たびたび語り合うエピソードが微笑ましかったこと、「まんぷく」(18年)では、主人公(安藤サクラ)の夫(長谷川博己)と主人公の姉たちの夫(要潤、大谷亮平)というイケメン3人衆が人気で、ドラマガイドにも3人の特集ページが組まれたという成功例もある。  だが過去はあくまで脇役としての盛り上がり。今回の「エール」では、主人公とその親友による3人であるから、たとえ妻がいるとはいえ、ど真ん中に3人組が来るのである。  文系男子3人+教師 という、これは朝ドラ? という新パターンを確立することができたら、国民的ドラマ・朝ドラもまた一歩進化することであろう。 連続テレビ小説「エール」 月~土 8:00(NHK総合)ほか ※土曜は一週間を振り返ります <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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