その食べ方、野菜の栄養捨ててるかも!?栄養を効率よく取る食べ方とは
「最近、ちゃんと野菜を食べていますか?」
大きくイエス!と答えられる人は少ないのではないでしょうか。「野菜を取らなきゃ」と思っていても、なかなか実行できないですよね。筆者も、ときどきサラダや炒めもの、鍋ものくらいで…しっかり取れているとは言い切れずゴニョゴニョしてしまいます。
しかも、食べ方によって実は野菜に備わっている栄養を十分に取り切れていない可能性があると最近知ってショックです……一体どうすれば?!
そこで今回は食文化研究家のスギアカツキさんに、“栄養を効率よく取る食べ方”について聞いてみました。
――食べ方によって実は野菜の栄養を十分に取り切れていない可能性があるって本当でしょうか?
「野菜に備わっている栄養であるカロテノイドは、健康維持のために大事な栄養素なのですが、そもそも体内に吸収されにくい成分であり、一緒に調理される食品、調理法、摂取する人の栄養状態などによって吸収率が大きくかわり、3%以下から96%と言われています」(スギアカツキさん 以下、カギカッコ内は同じ)
――なるほど!スギさんによると、注意したほうがよい“野菜の栄養の取りこぼし”ケースは3つあるそうです。
●噛まずに食べる
食事における咀嚼(よく噛むこと)は、消化酵素のアミラーゼを含む唾液の分泌を促し、胃腸での食べ物の消化吸収を促進します。このステップを怠ることは、せっかくの栄養素の吸収率を下げることにつながります。
●一度に大量に食べて安心する
どんな栄養素も体に貯蔵ができるわけではありません。脂溶性ビタミンは脂質と一緒に体内に貯蔵することができますが、水溶性ビタミンは体内に貯蔵できる時間が脂溶性ビタミンにくらべ少ないため、不足しないようこまめに摂取することが必要です。野菜は時間に余裕があるタイミングにまとめて摂取すれば大丈夫、などと安易な発想には気をつけましょう。
●偏った食事を続ける
栄養素のバランスがくずれると、身体の消化・吸収・代謝にも影響が出てきます。栄養素のほとんどは小腸で分解・吸収されますから、消化器官をはじめとする体全体を健康に保つことが、栄養吸収を考える上での基本になります。
――ダメな3つのケース、筆者はすべてあてはまっているのでドキッとしました。お話にあった、野菜に備わっている栄養のカロテノイドってどのような効果があるのでしょうか?
「カロテノイドの効果として最も広く認知されているのは、アンチエイジング効果でしょう。今回改めて働きについて整理してみると、うれしいことに大きく3つの効果が期待できます。
1つは老化やがんの原因となる活性酸素を除去・抑制することで“抗酸化作用”を発揮することです。2つ目は免疫機能を正常に保つ作用、そして3つ目は体内でビタミンAに変換されることによって皮膚や粘膜の健康を維持したり、光刺激反応に重要な役割をしたり、様々な細胞の増殖や分化に寄与します」
――どの効果も助かりますが、アンチエイジングと聞くと女子SPA!世代は是非とりたいところです。カロテノイドはどのような野菜に多く含まれているのでしょうか?
「カロテノイドは野菜や果物などに幅広く含まれる色素成分であり、色の濃い野菜などに多く含まれています。具体的には青菜(ほうれん草、モロヘイヤ、明日葉など)やニンジン、かぼちゃなどの緑黄色野菜です。他には海藻類にも豊富で、焼きのりや青のりが手軽でしょう」
――カロテノイドにはどのような性質があるのでしょうか?調理のポイントを教えてください。
「カロテノイドが変換されるビタミンAの特徴としてとらえてみると、ビタミンAは一般的に水に溶けない脂溶性であることから、調理(剥皮、切断、湯煮など)によって損失することはほとんどありません。また加熱殺菌に対しても強い性質がありますよ」
――どのようにすれば効率よく野菜の栄養を取れるでしょうか?世の中でよく耳にする3つの事例について、解説お願いします!
まずは…「ブロッコリーは、ゆでるよりも電子レンジ調理のほうが、水溶性のビタミンCをのがさず取ることができる」コレってどうなんですか?
「加熱時間が短いことで栄養素の損傷を減らすことができます。またビタミンCは水溶性(水やお湯に溶けやすい)の特徴を持つために、茹でるよりもレンジ加熱の方が流失を回避できますよ。
レンジ加熱でおいしい温野菜に仕上げるコツは、ラップをかけるのではなく、水で濡らしたキッチンペーパーの方がオススメです。蒸気が程よく外部に抜けてべちゃべちゃ食感を防げます」
――簡単便利なレンジのほうがいいなんて朗報です。次に「人参に多く含まれるβ-カロテンをとるには、油と一緒にとるために中華料理など炒めものがよい」はいかがでしょうか?
「βカロテンは油脂類に溶ける脂溶性の栄養素。つまり、油に溶けると吸収率が良くなることがわかっています。炒め物以外にもサラダのドレッシングに油を加えたりする工夫も有効です。
デリなどで人気のキャロットラぺはオススメです。生のニンジンを千切りにして、オリーブオイルやビネガーなどと和えれば完成。作り置きも可能です。その他、自家製ドレッシングとしてニンジンのすりおろしとお好みのオイルを合わせれば、サラダを食べる時にも活躍してくれます」
――おしゃれなキャロットラペが、栄養の面でもよいとは驚きです!あと、これも興味深いなと思ったのですが「ヨーグルトと野菜を一緒に食べるとよい」こちらはどうでしょう?乳酸菌が作り出すEPSという成分がカギを握るようなのですが…
「これは最近発表された研究成果ですね。ヨーグルトと一緒に摂ることで野菜に含まれるカロテノイドの吸収を促進することが明らかになりました。私たちにとってヘルシーでありながら手軽に摂取できるヨーグルト。ヨーグルトをデザートとしてだけでなく、野菜と一緒に摂取することができれば、緑黄色野菜などに多く含まれるカロテノイドを効率よく摂取することができます。
野菜や果物と一緒にヨーグルトを加えて攪拌したスムージーが最もオススメです。また、無糖ヨーグルトに味噌や醤油、ハチミツを混ぜて野菜のディップソースにすると、サラダのようにたっぷり味わうことができます。もちろん無理して料理にヨーグルトを取り入れることが苦手な方は、野菜料理を食べる際に必ずヨーグルトをセットで食べるように覚えておくと良いでしょう」
カラダが喜ぶ野菜。せっかくなら栄養をたっぷり吸収できる方法でとれるとより良いですよね。
さっそく今日から、効率よい方法で野菜の栄養をとって体を整えましょう!
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
<文/女子SPA!編集部>
“野菜に備わっている栄養を十分に取り切れていない”かも
野菜の栄養にはアンチエイジング効果も!
――カロテノイドにはどのような性質があるのでしょうか?調理のポイントを教えてください。
「カロテノイドが変換されるビタミンAの特徴としてとらえてみると、ビタミンAは一般的に水に溶けない脂溶性であることから、調理(剥皮、切断、湯煮など)によって損失することはほとんどありません。また加熱殺菌に対しても強い性質がありますよ」
野菜の栄養を取りこぼさない方法って?
――簡単便利なレンジのほうがいいなんて朗報です。次に「人参に多く含まれるβ-カロテンをとるには、油と一緒にとるために中華料理など炒めものがよい」はいかがでしょうか?
「βカロテンは油脂類に溶ける脂溶性の栄養素。つまり、油に溶けると吸収率が良くなることがわかっています。炒め物以外にもサラダのドレッシングに油を加えたりする工夫も有効です。
デリなどで人気のキャロットラぺはオススメです。生のニンジンを千切りにして、オリーブオイルやビネガーなどと和えれば完成。作り置きも可能です。その他、自家製ドレッシングとしてニンジンのすりおろしとお好みのオイルを合わせれば、サラダを食べる時にも活躍してくれます」
――おしゃれなキャロットラペが、栄養の面でもよいとは驚きです!あと、これも興味深いなと思ったのですが「ヨーグルトと野菜を一緒に食べるとよい」こちらはどうでしょう?乳酸菌が作り出すEPSという成分がカギを握るようなのですが…
「これは最近発表された研究成果ですね。ヨーグルトと一緒に摂ることで野菜に含まれるカロテノイドの吸収を促進することが明らかになりました。私たちにとってヘルシーでありながら手軽に摂取できるヨーグルト。ヨーグルトをデザートとしてだけでなく、野菜と一緒に摂取することができれば、緑黄色野菜などに多く含まれるカロテノイドを効率よく摂取することができます。
野菜や果物と一緒にヨーグルトを加えて攪拌したスムージーが最もオススメです。また、無糖ヨーグルトに味噌や醤油、ハチミツを混ぜて野菜のディップソースにすると、サラダのようにたっぷり味わうことができます。もちろん無理して料理にヨーグルトを取り入れることが苦手な方は、野菜料理を食べる際に必ずヨーグルトをセットで食べるように覚えておくと良いでしょう」
カラダが喜ぶ野菜。せっかくなら栄養をたっぷり吸収できる方法でとれるとより良いですよね。
さっそく今日から、効率よい方法で野菜の栄養をとって体を整えましょう!
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
<文/女子SPA!編集部> 



