冬の恋愛ドラマベスト3。“NHKの本気”も圧巻だけど、一番沁みた名作は
大量の花粉で春の訪れを感じると共に、冬ドラマが終焉を迎えようとしています。淋しい。プライム帯はもちろん、深夜帯まで名作揃いだったこのクール。恋愛モノが多くラインナップされていましたが、そのなかから特に心が震えた3選をご紹介したいと思います。
まずは、今クールで一番評判が高いといっても過言ではないこの作品から。よしながふみの原作×森下佳子の脚本という最強タッグで、もともと期待の高かったドラマ10の『大奥』(NHK総合、火曜夜10時~)。
疫病で男性の数が激減し、男女が逆転したパラレルワールドを描いた作品です。まず、NHKが本気を出すと、ここまで江戸という時代を豪華な映像世界で魅せてくれるのかと感服。さらにキャスティングが激ハマり!原作・脚本・キャスト・制作陣…すべてに文句のつけどころがない作品です。すでに2023年10月からseason2で医療編/幕末編が描かれることも決定しています。
ドラマ『大奥』は、もう時代劇の域を超えています。男女が逆転した世界という奇抜な設定ではあるものの、その世界に生きる人たちが一人ひとりリアリティをもって描かれているからでしょう。そして、様々な愛のカタチを見せてくれました。
大奥

よしながふみ『大奥』 (ヤングアニマルコミックス/ 白泉社)
大胆な設定のなかで描かれた人間ドラマ
大奥とは、世継ぎを生むための場所。幼くして大奥に連れてこられ、男性として振る舞うことを強要された家光(堀田真由)。ようやく心を許した有功(福士蒼汰)との子を宿せず、他の男と交わらなくてはなりません。5代将軍・綱吉(仲里依紗)は、美貌と教養を兼ね備えるも、一人娘を亡くした悲しみに浸る間もなく子作りに専念することを余儀なくされます。8代将軍・吉宗(冨永愛)は、未曾有の財政難に陥った幕府の運命を背負い、大奥を改革しようとするも、世継ぎの問題からも逃れられません。 将軍であるということ。その前にひとりの女性であるということ。それぞれが数奇な運命に翻弄されながらも、周囲の人たちと心を通い合わせ、愛をみつけ、苦悩し、支え合い、乗り越えようとする姿に胸を打たれました。


