「年を取っていくと着られないものが増える…」どうすべきかファッションのプロが提案
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
きっと地球温暖化の影響でしょう。夏の暑さが厳しく、そして長くなってきているように感じます。私が小学生のときは、日中の気温が31度にでもなろうものなら、暑さに耐えきれず、庭に設置したビニールプールに飛び込んだりしたものでした。しかし今では、最高気温が35度以上の日は、真夏のごくありふれた日となりました。
それほど気温が違うのですから、昔と同じものを同じように着ていたら、感じる暑さは増すばかりです。以前はなかった機能性素材もいろいろ出てきて、速乾性や冷感性のあるものもふえたため、そんなインナーを試してみたりもしましたが、ここ10年ほどは、夏のインナーはシルク素材を選ぶことで落ち着きました。
シルクは動物性の天然繊維です。私が小学生のころ、家の近くに桑畑がありました。桑畑があるということはきっと昔はどこかの農家が養蚕をしていたのでしょう。
小学校の理科の時間、蚕(かいこ)がクラス全員に配られ、繭(まゆ)が作られるまでを観察するという授業がありました。小学生たちは学校の帰り道、桑畑から勝手に桑の葉を引きちぎり、家に持ち帰って、蚕に与え、繭になるまでを観察しました。蚕はその桑の葉をむしゃむしゃ食べ、そのうちにモスラのように、口から白い糸をはき出し、自分をくるむように繭を作りました。
その繭糸で織られた織物がシルクです。絹糸は吸湿性、放湿性があり、タンパク質なので人の肌にも優しいとされています。難点は、取り扱いが少々面倒なことと、価格が高いこと。
そう思われているシルクですが、実際はそんなことはありません。シルクのキャミソールも、洗濯ネットに入れて、シルク素材の洗濯に適した洗剤を使えば洗濯機でも洗えます。
また、買うときは高く感じるシルク製品はとても長もちです。私は1週間分のシルクのキャミソールを洗っては着ていますが、古いものはもう10年以上前に買ったものです。それでも見た目は全くくたびれていません。またポリウレタンが入っていないものを選んできたので、伸び切って着られなくなった、ということもありません。
夏の最も暑い時期は、シルクのインナーに同じシルク、あるいはリネンのシャツやブラウスを組み合わせるというのが、自分が涼しく過ごせる定番の組み合わせとなりました。




