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「嫌われたら終わりと噂を流されて…」ヒエラルキートップの苦悩を知って涙|ドラマ『いちばんすきな花』

いちばんすきな花

木曜劇場『いちばんすきな花』© フジテレビ

多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠のクワトロ主演で綴られるドラマ『いちばんすきな花』。第2話では、「交換ノート」「教室移動」といった、見る者のあの頃の記憶をつつきながら、「同窓会」「結婚式」「ちびっこ相撲」「忘れ物」などのエピソードを挿入し、4人のキャラクターが抱えてきた“もやもや”を、さらに照らしはじめた。

共感ではなく、知らなかったからこそ流れた涙

ドラマ作品を見続ける重要ポイントに、登場人物の誰かの気持ちに“共感”して、笑ったり泣いたりしたいからと聞くことがある。 群像劇などは、多くの登場人物のなかから、「自分はこの人が好き」「この人は自分に似ている」「似てはいないんだけど憧れる」などと、探しあてることを楽しみのひとつにしている人もいるだろう。 本作の第2話終盤で、私は泣いた。だがそれは、上記のどれとも異なる感覚であり、とても不思議な涙だった。 潮ゆくえ(多部)、春木椿(松下)、深雪夜々(今田)、佐藤紅葉(神尾)の4人は、「2度めまして」「3度めまして」として、椿の家でそれぞれの席に着く。その帰り道、少し距離の近くなった夜々が、“交換ノート”の思い出をゆくえに話す。自分に来たノートは、すぐに書いて回していたという夜々。

ヒエラルキートップのもやもや

「私、“夜々に嫌われたら終わり”みたいな謎のうわさとかあって……。嫌われたくなかっただけなんですけどね」と。周囲が勝手に圧力を感じていたらしいのだと。その告白を聞くうち、いつの間にか涙が出ていた。 私も2人組は苦手だし、同窓会も行きたくない。だが、夜々とは全く属性が異なる。だから彼女の抱えてきた苦しみは知らない。彼女の気持ちが“わかった”から、“共感できた”から泣いたのではない。 知らなかったから涙が出たのだ。第1話冒頭では、幼いころ、母親がいなくなった途端に、女の子らしい服装を脱ぎ捨てていた夜々、そして同僚からひどい言葉をぶつけられ「カタツムリになりたい」と繰り返していた夜々。 ひょっとしたら、子ども時代、たしかに私も耳にしたことのある「あの子に嫌われたら終わり」という謎の言葉をささやかれ、ヒエラルキーのトップにいると思われていた子にも、人からは見えず、自分でも言葉にできない“もやもや”があったのかもしれない。
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目に見えることがすべてじゃない
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